今施工管理の仕事をしている。激務で睡眠時間も確保できないし、たまにある休日も電話がかかってきて休んだ気にならない。
そんな施工管理の仕事がキツいので転職したいと思うけど、異業種転職は不安だし、もうちょっと楽な施工管理の仕事ってないのかな?
こういったことを思ってはいませんか?
このような疑問に対して、ネット上では様々な情報が転がっています。大手のゼネコンであれば有給も取得できて、働き方改革によって残業時間も減っているという情報もあれば、建設業界はすべからくヤバいという声まで様々です。
私は新卒で建設業界の設備会社に入社し、業界に約10年間携わってきました。その経験から申し上げますと、世間で言う「施工管理でホワイトな仕事」は、「施工管理にしては楽」であるというだけで決して世間一般から見た時にホワイトな職場ではないですよということ。
ということで今回は、施工管理にホワイトな仕事はあるのか?という疑問をお持ちの方に向けて30代で建設業界から2回の異業種転職を果たした私が情報をシェアしていきます。
本記事の内容
- 1.施工管理の仕事でホワイトな環境はない
- 2.施工管理の中では比較的楽な業態2つ
- 3.建設業界の異なる職種で転職しても、ジョブローテで施工管理に逆戻りのリスクあり
- 4.施工管理から異業種への転職は以外と可能
1.施工管理の仕事でホワイトな環境はない
「ホワイトな仕事」と施工管理の実態はギャップがありすぎる
皆さんは、「ホワイトな仕事」というワードを見た時に、どんなイメージを抱きますか?きっと、こんなイメージを抱く人が多いでしょう。
皆さんがイメージするホワイトな仕事
・週に2回はノー残業デーで定時帰宅
・残業は月に20時間以内
・フレックス勤務で自分の生活リズムにあった働き方を体現
・有給取得率が高い
・ハラスメントなどなく、チームで助け合う風習がある
・休日出勤はほとんどなく土日はリフレッシュ可能
・設備の完備されたオフィスでリラックスした仕事が可能
施工管理という仕事内容を鑑みて、こういった職場がありえるのかを考えてみてください。そんな会社あるわけがないと思いませんか?
どう考えても工事現場で働く以上、気性の荒い職人さんや現場所長からどヤされるでしょうし、基本的に現場は土曜日が稼働しているので週休2日が取れることなんてかなりレアです。
また、空調なんて整備されていない工事現場は体力的にもキツいですし、冗談抜きで怪我や重症事故のリスクだってあります。
そう。施工管理とホワイトな仕事なんて一生相容れないと言っても過言ではないレベルで違いすぎるのです。
なお、施工管理ってどんな仕事なの?実態がわからない。。という方は「施工管理はやめとけ」の理由6つ。建設業界で10年働いた私がヤバい実態を解説という記事で解説しておりますので是非ともご覧ください。
施工管理に「ホワイト」はないが「グレー」なら存在する
上述の通り、施工管理という仕事を選択している以上、ホワイトな職場を求めることはそもそも辞めたほうが懸命です。
ただ、自分の中の期待値を下げて「施工管理の中でも比較的楽だったらそれで良いや・・・」と納得できるのであれば、もちろん色々な選択肢があると思いますよ。
2.施工管理の中では比較的楽な業態2つ
施工管理で比較的楽な業態①.マンションの改修
施工管理という地獄のような職種の中で、マンションの改修工事に携わる仕事は比較的楽な可能性があります。理由としてはこんな感じ。
<マンション改修工事が比較的楽な理由>
- 入居者がいるので作業時間に制限がある
- 新築と比べると工事に必要な書類などが少ない
- 工事の規模が比較的小さいものが多い など
有名どころとしては、「独立行政法人都市再生機構」(UR)などがあります。転職口コミサイトのOperWorkで同社の情報を見てみるとこんな感じ。
この業界にあって平均残業時間が17.7時間というのは驚きですよね。
ちなみに、この平均残業時間は全職種含めてのものなので、施工管理に限定すると数字は上昇するとは思うのですが、それを考慮しても施工管理にしては大いに楽な部類に入ってくるでしょう。
なお、OpenWorkってなにそれ?と気になる方は別途記事でまとめておりますので是非ともご覧ください。
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OpenWorkの評判は?登録すると転職活動がバレる?利用経験者が疑問に回答
続きを見る
ただ、私もマンション向け設備導入の仕事をしたことがありますけど、週休2日の期待はしないほうが無難です。
なぜならば、マンションには管理組合という居住者の団体が工事の意思決定をしており、その管理組合向けの説明会は居住者の仕事が休みである土日に行われることが多いからです。
そして、この管理組合向けの説明会は時間が夕方だったりするんですよね。
そうなると、気分的には休日に一日緊張している形になるので、全然休んだ気にならないということは結構あったものです。
施工管理で比較的楽な業態②.地方全般
私は過去に建設業界の会社で労働組合の役員をやっていました。
その頃の全従業員の残業時間を鑑みると、施工管理の中でも地方になればなるほど残業時間が少ない傾向がありましたね。
やはり工事規模が大きくなればなるほど、現場に入る工事業者も多くなって現場全体の管理が複雑になりますからね。
実際、私は名古屋の某巨大ビルの工事現場を担当したことがありますけど、8時からの朝礼に間に合わせるために7時30分から朝礼会場までの長蛇の列に並ぶという意味不明な現象を経験したのは懐かしい思い出です。
大手だったらホワイト説は大嘘
東証一部上場の大手だったり、いわゆるスーパーゼネコンの施工管理であれば、比較的ホワイト!という説がありますけど、そんなの大嘘だと思ったほうが良いです。
例として、スーパーゼネコンと呼ばれる会社の残業時間を同じくOpenWorkで調べてみました。結果はこんな感じ。
<OpenWorkでの平均残業時間:2022年5月時点>
- 鹿島建設 52.8時間
- 清水建設 49.9時間
- 大成建設 66.7時間
- 大林組 62.9時間
- 竹中工務店 62.3時間
この数字を客観的に見ると、明らかに激務ですよね。
なお、私は大成建設の施工管理に知人がいますけど、残業100時間超えてからが本番で、150時間を超えるとイライラしてきて、200時間になると気が狂いそうになる。と言っていました。
上記は2015年くらいの話ではありますけど、現在のOpenWorkの残業時間から考えても状況が劇的に改善されているとは考えづらいでしょう。
ただ、これはスーパーゼネコン各社がブラックでけしからん!という話ではなくて、そもそも論として建設業界の工事工程そのものが圧倒的な残業を行う前提で作られているという闇深さがあります。
なお、こういった建設業界の闇深さについては建設業界はおかしい!業界で10年勤めた筆者が語る業界の闇【恫喝・説教】という記事で解説しております。こちらも興味があれば是非ともご覧ください。
3.建設業界の異なる職種で転職しても、ジョブローテで施工管理に逆戻りのリスクあり
施工管理なんてもうこりごり!と思って同じ建設業界の営業職や設計職に転職しようと思う人も多いことでしょう。
もちろん、転職してしばらくはその職種で仕事ができるでしょうけど、施工管理の経験って自分が思っている以上に周囲から目を引くスキルなのです。
そのため、施工管理が嫌で転職をしたはずなのに転職して3年くらい立ったら施工管理でバリバリ働く羽目になってしまったという例も珍しくはありません。
私は新卒で建設業界における消防設備の会社に入社しました。
その会社で施工管理が嫌だという理由でマンション管理会社に転職した人を知っていますけど、まさに上述のように転職して数ヶ月で施工管理に異動させられてましたからね。
こうなると本当に悲惨です。この事例からも施工管理からの建設業界内異職種転職というのは結構リスキーだと思いますね。
ちなみに、消防設備業界ってどんな業界なんだろう?と興味に思う方は【能美、ホーチキ、ニッタン】防災メーカー転職希望者へ。元社員が実態を解説!という記事で詳しく触れていますので、是非ともご覧ください。
4.施工管理から異業種への転職は以外と可能
施工管理経験者は市場価値が高い
結論、私は施工管理職から施工管理に転職するのではなくて、いっそのこと異業種へ思い切って転職することをオススメしています。
繰り返しですけど、建設業界にいる限りブラックな環境からは逃れられませんし、譲歩してもグレーな環境しか得られませんからね。
私自身、30代で異業種転職を経験してきて、異業種転職で自分が通用するかとても不安だったんですよね。
ただ、今にして思うのは建設業界という過酷な環境の中でも施工管理という最先端でやってきた人は、自分の思っている以上に能力が高いということ。
だからこそ、多くの人は異業種でもきっとやっていけます。
なお、建設業界からの異業種転職を成功させるためのポイントは個別記事で徹底解説しておりますので、少しでも興味のある方は是非ともご覧ください。
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建設業界で悩み苦しむあなたへ。10年間業界で働いた私が伝えたい3つのこと
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なお、建設業界から見ると異業種はすべてホワイトかもしれませんけど、どうせならホワイトな業界を目指したいですよね。
そういった皆様に転職しないほうが良い業界を別記事でまとめておりますので、こちらも目を通したうえで転職活動に進むことをオススメします。
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【2023年】ブラック企業経験者が転職しないほうがいい11業界と理由を解説
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施工管理をやっていると、現場の人達の苦労な視点について想像力を働かせられるようになります。
結論、この視点ってどんな仕事をやるにしてもすごく重要でして、最終的に商品を使うであろう現場の事情に耳を傾けられる人は相手から信頼されていきます。
そういった意味でも、施工管理経験者というのは市場価値が高いのです。
おわりに。
ということで、施工管理でホワイトな企業へ転職したい人向けのまとめ記事でした。
繰り返しますが、施工管理という仕事でホワイトを求めるのはなかなか狭き門です。
それよりも、ホワイトな業界への転職を狙っていくほうが明るい未来が待っているのではないでしょうか。
今回は以上です。