あなたの職場には言われたことしかやってくれない人はいませんか?
こういった指示待ち人間に対して不満を抱えている人も多いのではないでしょうか。
結論、言われたことしかできない人には2種類いて「指示待ち人間となり悩んでいるパターン」と「意図的に指示待ち人間になっている」パターンです。
双方共に周囲からは「やる気がない」「主体性がない」と見られがちですけど、前者の場合は本人は辛くて、実は自分なりにどうにかしようと苦しんでいる場合が多いのです。
そして、後者の場合は改善の余地がありません。
そのため、上司・同僚など立場を問わず、言われたことしかできない人の心理や特徴を理解して、その人に合った接し方を心がけることがチーム全体の生産性を上げることに繋がります。
今回は、過去に言われたことすらできない部下を持った私が感じる、言われたことしかできない人の心理・特徴やマネジメント方法について解説していきます。
本記事の内容
- 1.仕事で言われたことしかできない人の特徴3選
- 2.言われたことしかできない人への叱責や説教は効果がない
- 3.言われたことすらできない部下をマネジメントした体験談
- 4.言われたことしかできない人が悩んでいること
- 5.言われたことしかしやらない人が抱えるリスク
1.仕事で言われたことしかできない人の特徴3選
特徴①.自分の仕事ぶりに自信がない
結論、言われたことしかできない人は自分の仕事ぶりに自信がありません。
また、経験が浅くて何をしたら良いのかわからない人も多いでしょう。
自信がないから「自分の意見と上司の意見は違うかもしれない・・・それなら一旦言われたことだけをやっておくことにしよう」といった感じで、言われたことだけをこなすだけの指示待ち人間になってしまうのです。
こうなる人の多くは、自分の判断によって仕事をした結果失敗した経験を持っているもの。
自分が「こうしたほうが良い」と思って仕事をした結果、上司から叱られたりお客様からクレームを受けてしまうと、自信を失ってしまいますよね。
自信を失ってしまうと、「また怒られたくない」という心理から一つ一つの判断が疑心暗鬼になってしまいがちです。
そうしたプレッシャーに耐えきれなくなった結果として「言われたことだけやっていれば良いや」と流されてしまうわけです。
そうなると、必要以上に仕事に時間がかかってしまいますし、周囲からは「全然仕事していない」と思われてしまうなど、良いことが一つもありません。
やはり、人が失敗したときに必要以上に叱責したり説教する指導法は効果が薄いんですよね。
その詳細については【管理職・中堅リーダー向け】部下や後輩を説教しても意味がない3つの理由という記事で解説しておりますので、興味があれば是非ともご覧ください。
特徴②.責任を負いたくない
言われたことだけしかやらない人は仕事で責任を負いたくないと思っています。
自分の判断で失敗を招いた場合、その責任は自分に降りかかるわけですけど、言われたことをやっていて失敗した場合は、それほど責任を感じなくても良いですよね。
客観的に考えて、言われたことしかやらない人って同僚からすると「もっと仕事してくださいよ・・・」と思われるのは当然なワケです。
ただ、当の本人はそんな想像力を働かせることができないほど、精神的に追い詰められている傾向にあります。
なお、このように精神的に追い詰められている人にはいくつかの特徴や見分け方があります。
それに関しては【他責】メンタルが弱い部下の見分け方5点と対処法を解説します【ネガティブ】という記事で解説しておりますので、興味があれば是非ともご覧ください。
特徴③.仕事のモチベーションが低い
仕事で言われたことしかやらない人は、総じて仕事のモチベーションが低いです。
ですが、だからと言ってこうした人は転職するほどの気概もないので、何としても現職にしがみつくという姿勢が強いのも特徴の一つです。
ですので、上司や同僚から
この人は居てもいなくても一緒だから一層のこと会社を辞めてくれれば良いのに・・・
と思われている可能性すらあります。
ただ、これは非常に悩ましい問題でして、そもそも皆が皆仕事への向上心があるわけではなく、「仕事は生きるための手段であり、やりがいなんて求めていない。楽なほうが良い」と思っている人もいるわけです。
そして、仕事を楽にやっていくための手段として、最低限の仕事だけを最低限のクオリティで仕上げていき、期限ぎりぎりまで忙しいフリをするなどの行動をしたりします。
加えて、1~2時間にタバコ休憩で15分くらい席を外したり、やたらとトイレに居る時間が長かったりと、様々な手段で仕事をサボろうとしてくるでしょう。
こうした人は上司からの信頼という、職場で誰もが得たいものを「紙クズ」のように考えています。
なぜならば、上司の信頼があればあるほど責任が重くて大変な仕事を任せられるからです。
どんな優秀な人でも、他人の性格を変えることはできません。
大事なのは、部下の性格や仕事への姿勢を理解し、言われたことしかやらない人には単純作業を多く割り振るなどの采配を振るうことでしょうね。
2.言われたことしかできない人への叱責や説教は効果がない
部下を説教で詰めると上司の顔色だけを伺う指示待ち人間になる
どうしても、上司の立場からすると「指示待ちの部下」には「なんで言われたことしかできないの?」キツく接してしまいがちになるのですが、結論これは効果がありません。
なぜならば、指示待ちの人達は自発的に動きたくとも身体が言うことをきかずにフリーズしているような状態だから。
そもそも、上司からの「なんで」というワードって結構強くて、その後にはだいたい否定の言葉が続くんですよね。
人間誰しも、自分を否定してくる人に付いていこうとは思いませんし、否定は人のやる気を削ぎますので、メリットは薄いと言えます。
ちなみに、否定から入る上司への対処法に関しては【上司・同僚・夫婦】否定から入るうざい人の心理・特徴と対処法5つを徹底解説!という記事で解説しております。今現在上司から否定されてお悩みの方は是非ご覧ください。
結論、部下を厳しく指導して叱責してしまうと、部下はいつしか「上司の顔色だけを伺う」ようになってしまい、結果としてその部下はスラムダンクの安西先生もびっくりなレベルで
まるで成長していない・・・
という結果を招く可能性が高いでしょう。
最大のデメリットは、部下がお客様ではなくて上司の顔だけを伺うようになること。
仕事って本来は上司ではなくてお客様の声に耳を傾けるべきですよね。商品やサービスを買うのは上司じゃなくてお客様なのだから。
それなのに、部下が上司の顔色だけをひたすら伺うようになってしまうのは会社の損失と言えるのではないでしょうか。
言われたことしかできない部下には期待しないほうがチーム運営がうまくいく
結論、説教しなかったとしても、そもそも仕事にやる気がないような部下も一定数存在します。
上述の通り、人の性格は上司には変えられません。ですので、こういった部下には期待する必要性がないと言えます。
あとは、年齢によっても対処法は変わってきます。
20代〜30代くらいの若手〜中堅であれば本人の意識や上司の指導内容によっては性格の矯正ができるかもしれませんけど、40代になってくると良くも悪くも出来上がっていますからなかなか変わるのは困難です。
そのため、特に40代以上で指示待ちの人には今後自発的に仕事をしてくれることを期待しないのが無難だと思いますね。
世の中には自発的に行動できる優秀な部下もいれば、言われたことしかできないような部下まで千差万別です。
当たり前ですけど、人によって持ち合わせている能力は違いますし、伸びしろも異なるわけですよね。
ですので、どんな部下にも同じような姿勢を求めてしまうと、結果仕事のできない指示待ちの部下に対してイライラが止まらないのは当然です。
全然働かない人には厳しく接することが、真面目に働いている部下のためにも必要なことだ!
という上司の気持ちはわからなくもないのですが、皆の前で特定の人を感情的に叱責する行為って周囲からすると気持ちの良いものではないんですよね。
結果として、上司の人間性も疑われてしまいますし、チームの雰囲気を悪くするなどの悪循環に陥りかねないのです。
ですので、指示待ちの人には多くを期待せずに、長い目で「変わってくれたら嬉しいなぁ」くらいの気楽な気持ちで見守るくらいが良いのではないでしょうか。
暖かく見守ってもらえれば、指示待ちの人ももしかしたら少しは変わるかもしれませんしね。
3.言われたことすらできない部下をマネジメントした体験談
前職の話なんですけど、私が担当していた企画のチームには言われたことすらできない20代の部下がいました。ちなみに、特徴はというとこんな感じ。
<言われたことすらできない部下の特徴>
- 仕事を依頼した瞬間の返事だけは「わかりました!」と良い。
- 説明能力が絶望的に低く、何を言っているのかさっぱりわからない
- 仕事の優先順位が付けられないので、タスク漏れによる残業が多発
- 目的を理解せずに、「とりあえずやってみる」ので無駄な作業が発生する など
大変だったのが仕事を任せると全く検討違いの内容が返ってくること。これを軌道修正する指導時間が結構私の工数を圧迫していたわけです。正直「どうすりゃいいんだ・・・」と日々悩んでいました。
目的を理解させることにより、少しだけ改善効果があった
結論、この部下には、「厳しく指導する」「褒めてみる」などの手法を試してみましたけど、結論から言うと効果がありませんでした。
なぜならば、言われたことすらできない原因分析ができていなかったからです。
そのことに気づき、仕事をお願いする際に「目的」を明文化させることを徹底した結果、少しはマシになった気がしますね。
やっぱり仕事において目的を理解するというのは重要だと思います。
なお、目的の重要性に関しては【目的の理解】部下に自分で考えて仕事させるための方法とその効果とは?という記事で詳しく解説しておりますので、興味があれば是非ともご覧ください。
言われたことができない原因分析を行うことが大事
また、この部下にはとにかく自分事で考えさせることを徹底しました。
よく、明確にやることを指示させるべき!という指導法がありますけど、この部下にそれをやってしまうと、ますます何も考えなくなると思ったんですよね。
基本的に「どうしたら良いですか?」という思考停止の問いには答えませんでしたし、なにかにつけて「君はどう思うの?」というウザい「なぜなぜ攻撃」をかけていったのです。
正直、結構される側はキツかったと思うんですけど、指示待ちという習性を和らげるという意味で「なぜなぜ攻撃」は一定の効果があった気がしますね。
ちなみに、この若手の場合は私が思うに「想像力が足りない」ことが指示待ちになっている原因でした。
「仕事の背景や目的」「自分の仕事を完遂した際の影響範囲」などがフワッとしたまま企画の業務に着手してしまっていた点が問題だったわけです。
当然、人によって指示待ちになってしまう原因は違いますし、相手の性格によって適切な指導法は異なると思います。
いずれにしても、「原因特定→成果を少しずつ出す→自信になる」という経験を積むことが自発的になるための必須過程と言えるでしょう。
部下が報告しやすい環境を作るのは上司の仕事
仕事では報告、連絡、相談が大事とはよく言われますよね。
上司からすると、言われたことしかできない人は全然相談してこない!と不満に思いがちですが、それは上司自身が相談しにくい雰囲気を作っている場合も珍しくありません。
ですので、言われたことしかできない人ほど、きちんと話を聞くことが必要なのです。
なお、仕事で相談しないことのデメリットは【仕事遅い】仕事で上司や同僚に相談しない人が損する3つの理由【残業多い】という記事で触れておりますので、こちらもぜひご覧ください。
4.言われたことしかできない人が悩んでいること
悩みその①.周囲に迷惑をかけたくないと思う結果、何も行動できない
結論、指示待ちになってしまう人はマジメな人が多いです。
自分なりにベストを尽くそうとなんとか頑張っているものの、過去の失敗経験や自信のなさがネックとなり行動できなくて悩んでいる傾向にあります。
結果、チームに貢献できていない後ろめたさを感じつつも、主体的に行動するのは「周囲に迷惑がかかるかもしれない・・・」と考え込んでしまうわけです。
ですので、こういった人には「自分で考えて行動しろ!」と頭ごなしに否定から入るのはいけません。
「相談しやすい雰囲気を作る」とか、「こちらから相談事はないか話を振る」など、周囲の協力によって言われたことしかできない人の悩みを改善できる可能性はあるとは思います。
悩み②.指示待ちを改善するために何をすればよいのかわからない
結論、自分自身が言われたことしかできないと感じている本人ができることはたくさんあります。具体的にはこんな感じ。
<言われたことしかできない本人が改善すべき点>
- 自分の中で明確な目標設定をする
- わからないことは周囲に相談する
- 上司から注意されたことをメモして再発防止策を考える
- 仕事の目的を理解する。目的が不明ならば質問をする
- でも、だって、どうせ、だからなどの否定ワードを使わない など
ただ、当の本人はそういった改善すべき点がわかっていません。
私自身もそうですが、自分の欠点って自分だとわからないことが多いんですよね。
周囲に指摘されてはじめて改善点を気づくことも多いです。
上述の通り、言われたことしかできない人は自信を失っている場合がほとんどですので、一度にあれやこれや指摘すると頭がパンクしてしまうでしょう。
そのため、簡単な改善策から一つずつ実行してもらうのが経験上オススメです。
そんな日々を繰り返していくことで、きっと今よりも状況は改善すると思いますよ。
5.言われたことしかやらない人が抱えるリスク
リスク①.成長できない
私は言われたことしかやらない人です。だって、そのほうが楽だから。それの何が悪いの?
と感じる人は実際多いでしょう。
結論、別に言われたことしかやらない事自体は悪でもなんでもありません。ただ、そのスタンスで仕事をし続けている限り、成長ができない点はデメリットと言えるでしょう。
勉強でもスポーツでも仕事でも、やらされ仕事では何も身につきません。
自分に合ったやり方を考え、新しいことに挑戦して試行錯誤した結果、人間は成長していきます。
ただ、新しいことに取り組むのって凄く苦しいことなんですよね。なぜならば、人間には本能的に変わることを拒否する性質があるから。
けれど、そういった苦しみを乗り越えることが成長には不可欠ですし、逆に言うとこの苦しみを避けている限りは成長は難しいです。
大学時代の同級生、会社の同僚、地元の友人。昔は同じような境遇だった人達からもどんどん差をつけられてしまい、いつしか劣等感ばかりを感じてしまう。
実力がないから転職も難しいし、人生に絶望してしまう・・・
まずは、こんなことになりかねないと危機感を持ちましょう。
そして、自分がもしも指示待ちでしか仕事をしていないのであれば、変えられるところから少しずつ変えていくのが良いと思いますね。
リスク②.チームの和を乱す
言われたことしかできない人は2種類で、「マジメだけど指示待ちになってしまっている人」と「指示待ちなのに、自己評価だけは高い人」がいます。
どちらも、同僚からすると不満な存在なワケですが、特に後者の場合はチームの和を乱しかねない危険な存在となります。
この場合、指示待ちで仕事をしている本人は「言われた仕事を完璧にこなしている」という自負があるので、仕事ができないという評価に納得ができないのです。
上司からすると、自発的に改善提案をしたり、創意工夫をするなどの主体性がある部下は評価したくなるもの。
それに対して、指示待ちの部下は上司にとっては手間がかかる存在であるため、評価の対象とはなかなかなりません。
にも関わらず、「私は仕事をしているのに評価されない!」という態度で仕事をされると、当然周囲のフラストレーションが溜まっていき、チームのモチベーション低下となりかねません。
なお、私自身過去にこういったタイプの同期を抱えていたことがあります。こうした人の特徴については【体験談】同期にモンスター新人を抱えた私が思う7つの特徴と4つの対処法とはという記事で解説しておりますので、興味があれば是非ともご覧ください。
おわりに。
ということで、言われたことしかやらない人の特徴に関するまとめ記事でした。
言われなくても行動するようになるのは、口で言うほど簡単なことではありません。一度ついた思考停止の癖はなかなか抜けないからです。
もしもあなたが上司であるならば、指示待ちの人は潔く諦めてしまうというのも一つの手段でしょう。
そして、もしもあなたが指示待ちの人間だったのであれば、自発的に行動するための阻害要因を今一度見つめ直してみてください。
仕事って大変ですけど、生きていくためにはやらないといけないことですよね。
どうせ仕事をするのであれば、周囲から認められて生き生きと仕事をしていきたいはず。本記事がその一歩を生むきっかけになれば幸いです。