妻が夫の転職に“待った”をかける「嫁ブロック」という言葉を聞いたことはありますか?
そんなことあるのか?と思う人達も多いでしょうけど、エン・ジャパンの調査によると、転職志望者の約4人に1人の割合で、嫁ブロックによる内定辞退が発生しているようです。
せっかく苦労して転職活動をしたのに、最後の最後で愛するパートナーから反対されるなんて目も当てられない惨劇ですよね。
そして、転職活動の末に内定を獲得したものの、いざ妻に転職したいことを打ち明けたところ反対されてしまった男性はそこそこ多いのではないでしょうか。
結論から言いますと、嫁ブロックの根本原因はほとんどの場合「事前になぜ言ってくれなかったのか」という感情論か「転職への気概が感じられない」という不信感のどちらかです。
従いまして、「嫁ブロック」に悩んでいる人や嫁ブロックが心配な方は考え方と行動少しを変えてみるだけで良い方向に向かうかもしれません。
ということで今回は、嫁ブロックの原因や対処法などについて解説していきます。
本記事の内容
- 1.嫁ブロックの主な原因7選
- 2.嫁ブロックの実態【2023年版アンケート】
- 3.嫁ブロックの対処法3選
- 4.企業が面接で転職活動を家族に相談しているか質問する理由
1.嫁ブロックの主な原因7選
嫁ブロックの主な原因
大前提として、嫁ブロックは「転職に反対されている」ことを示します。
そして、嫁ブロックの要因として考えられる項目はこんな感じ。
<嫁ブロックの主な原因>
- そもそも相談されてすらいない
- 年収や福利厚生が下がる
- 残業が増える、休日が減る
- フレックスなし、在宅勤務ができないなど働き方の柔軟性が低い
- 短期間に複数回転職しており、「またか」と思われている
- 引っ越しを伴う
- 同じような業界、条件での転職であり、たいして変化がない など
嫁ブロックの要因①.そもそも相談されてすらいない
結論、この場合は感情的にこじれる可能性が高いので挽回は難しいです。
妻にとって、夫の職場が変わるということは夫だけの問題ではなく、夫婦に関わる話と言えます。
例えば、子供がいるのであれば保育園に通えるような職場なのかや残業が多い職場なのかは重要なポイントです。
なぜならば、夫の転職先が激務だったり育児に理解がない職場だと妻の育児の負担が増えるからです。
子供がいなかったとしても、夫と過ごす時間が変わったり、生活スタイルも変わってくる可能性があるのが転職なのです。具体例をまとめてみるとこんな感じ。
- 収入が減る → 生活水準に影響
- 勤務地が変わる → 毎日のルーティンが変わる
- 転勤の可能性や頻度 → 将来設計に影響が生じる
- フレックス勤務ではない → 保育園の子供の送り迎えは妻だけに偏ってしまうかもしれない
- 激務になる → 家事や育児の負担が妻に偏る
そう考えると、仮に年収が2倍になるような大成功な転職だったとしても、転職を事前に相談してくれなかった=妻を軽んじていると思われてしまう結果、感情的にこじれてしまうワケです。
ですので、嫁ブロックを防ぐには転職活動する前に妻へ相談することが最も重要だと言えるでしょう。
また、転職をすると人間関係の構築をしていかなければなりません。
結果、転職当初は飲み会が多くなったりしますし、夫自身も慣れない環境の中で高いストレスを感じたりします。
夫が高いストレスを感じると、休日はゆっくり休む必要があるなど、パートナーである妻にもダイレクトに影響する事案なんです。
実際、私は最初の転職をした時は新しい環境に慣れるまではストレスが凄くて、妻に愚痴を聞いてもらうなど、今考えれば結構迷惑をかけました。
だからこそ、転職は自分だけの問題ではないので家族への共有が必須だと感じています。
こういった影響があることを理解したうえで、転職活動を行う前に本音ベースの「転職理由」を妻に相談することが嫁ブロック回避の第一歩だと思いますね。
なお、転職に伴うストレス要因については転職のストレスが半端じゃない!転職経験者が6つの要因と対処法を解説しますという記事で解説しておりますので、興味があれば是非ともご覧ください。
嫁ブロックの要因②.年収や福利厚生が下がる
結論、生活していくうえで収入は極めて重要です。
年収が上がるならば良いのですが、年収が下がったり福利厚生が悪くなるのであれば嫁ブロックに合う人は多いでしょう。
当然、夫の年収が下がると生活水準は下がります。
貯金できる金額も減少すれば、子育てやローンの生計、さらには普段の食生活など家庭内の生活設計も変わってきます。
福利厚生面においては、今働く会社で「現職で住宅手当が多い」「社宅に住んでいる」など、恩恵に授かっていればいるほど嫁ブロックのリスクは高くなると言えます。
また、直近で住宅の購入や車の購入など、大きな出費を予定している場合はなおさら年収が下がることでの嫁ブロックが発動する可能性が高まるでしょう。
基本的には転職は今の環境を改善するために行うものです。
人間関係の不満、会社の方針など、転職理由は人それぞれでしょうが、その一方で仕事は生活するために行うものであることも事実です。
そのため、仮に年収が下がる転職なのであれば、年収を下げてまで転職したい理由を妻にしっかり説明する必要があるでしょう。
嫁ブロックの要因③.残業が増える、休日が減る
結論、残業が多くなったり休日が減ることが明らかであれば嫁ブロックされる可能性は高くなります。
これは、妻が夫の体調を心配する心理のためです。
例えば、残業が多くて年収が上がるような内定を貰ったとします。
この場合、一定数年収が上がることを喜ぶ妻もいるでしょうが、少なからず夫の体調を心配してしまう側面もあるでしょう。
また、仕事が忙しくなると夫とのプライベートな時間も減ることになりますし、子供がいるお宅であれば保育園の送迎可否など影響度合いは大きいです。
嫁ブロックの要因④.フレックスなし、在宅勤務ができないなど働き方の柔軟性が低い
これまでフレックス勤務などで柔軟な働き方をしてきた人ほど、「フレックスがない」「在宅勤務ができない」といった理由で嫁ブロックされやすいです。
なぜならば、人間は今の現状と比較してしまうものだから。
4畳のワンルームに住んでいた人が8畳の部屋に引っ越すと「なんて広い部屋なんだ!」と喜ぶ一方、10畳の部屋に住んでいた人は「ちょっと狭いな・・」と落胆するのと同じ理屈です。
特に、柔軟性のある働き方は子育て世帯には需要があるので、子育て世帯ほどこの要因で嫁ブロックされる可能性は高いでしょう。
嫁ブロックの要因⑤.短期間に複数回転職しており、「またか」と思われている
結論、短期離職を繰り返す夫は妻からあまり信用されていません。
なぜならば、転職という妻にも影響が及ぶ行為にも関わらず、結果的に失敗を繰り返しているからです。
夫からすると、運悪く入社した会社の上司が鬼軍曹だった場合や、ブラック企業だと知らずに入社したなどのケースもあり「運が悪かった。心機一転次で頑張ろう」と思うこともあるでしょう。
ただ、根本を突き詰めていくと転職の失敗は100%夫の責任です。
その本質に気づかず、転職失敗を会社のせいにしていると「それは少し違うのでは?」と悶々とした不満を抱く妻もいるでしょう。
そして、短期離職を繰り返す姿を見ていると、「実は会社でなく夫に原因があるのではないか」「転職を軽んじているのではないか」という疑念がよぎっても不思議ではないでしょう。
結果、妻からすると「また転職失敗するのではないか」という気持ちになってしまい嫁ブロックを招くことになるのです。
嫁ブロックの要因⑥.引っ越しを伴う
転職によって引っ越しが伴う場合も嫁ブロックに合う可能性は高いでしょう。
今住んでいる場所がイマイチで、住環境も悪いのであればすんなり事が進むでしょうけど、住む場所が変わることは大事です。
今の場所で友人に恵まれていたり、住んでいる場所が気に入っている場合は反対されるのも無理はないでしょう。
なぜならば、引っ越しするのもお金や準備にかかる時間が伴うからです。
また、既に家を買っていたりして子供が小学校まで進んでいるとなると引っ越し自体が困難になって単身赴任となるケースもあります。
夫婦仲が悪いならばともかく、この場合は反対されるのも無理はないでしょうね。
嫁ブロックの要因⑦.同じような業界、条件での転職であり、たいして変化がない
転職しても大きな変化がないような場合、それならば転職しなくても良いのでは?と思われても仕方ありません。
ですので、この場合は転職することで自分にとってどんなメリットがあるのかを明確にすることが大事だと言えます。
逆に、大した理由もなく同じような会社に転職したいと妻に伝えた場合は嫁ブロックされてしまう可能性が高まるでしょう。
2.嫁ブロックの実態【2023年版アンケート】
エン・ジャパンは2023年の3月28のプレスリリースで、35歳以上のミドル層に対して「転職の家族ブロック」に関するアンケートを取得しています。
そして、調査結果はというと結論こんな感じ。
<嫁ブロックの主な原因>
- 家族に転職を反対された経験がある方は33%。2018年から13ポイント減少
- 反対された方のうち、半数が内定辞退の経験あり
- 転職を反対した家族は「妻」。嫁ブロックが66%で最多。反対された理由の第1位は「転職自体に良くない印象がある」
- 転職を応援してもうために実施しておくべきこと、トップは「家庭内で常日頃から仕事の話をする」
- 転職相談のタイミング上位は「転職を検討していた時」(57%)、「転職活動を始めてから」(17%)で、7割以上の方が内定をもらうまでに相談している
- 転職の反対理由は「転職自体に良くない印象がある」(44%)、「年収が下がる」(39%)、「大手企業勤務等、肩書がなくなる」(21%)が上位
- 年収が下がることで転職を反対された人のボリュームゾーンは50~199万で約54%がこの範囲で反対されている
転職に反対された人は約33%ということで、約3人に1人が家族に転職を反対されているようです。
そして、やはり家族を持っている男性は妻から転職を反対されることが多い結果になっています。
このことから、家族を持つ男性が転職を成功させるには常日頃から妻と仕事の状況についてコミュニケーションを交わすことが重要だと言えるでしょう。
3.嫁ブロックの対処法3選
対処法①.妻に転職の事前相談を行う
結論、この対処法が基本中の基本であり、逆に言うとこれを怠っていると嫁ブロックされてしまう確率は激増します。
なぜならば、上述の通り転職という妻の人生を左右しかねない決断を事前相談なしに決めてしまうということは、妻の気持ちをないがしろにされたと思われてしまうからです。
そして、こうなってしまうと感情的なこじれが発生してしまうので、挽回はかなり困難であると言えます。
大前提として、特別な事情がない限りは転職活動を始める前に妻へ相談することが大事です。
ただ、もしも妻に事前相談をしていない状態で転職活動を始めて内定を獲得した場合、100%自分が悪かったという気持ちで「君への影響を全然考慮できてなくて本当にごめん」と謝る他ないと思います。
間違っても、「いい会社から内定貰ったんだ!」という喜びのテンションで報告をしないようにしましょう。
こうなると、
いやいや。その前に転職活動を始めるタイミングで言えよ・・・
と怒りを買うことになりかねません。
男性の皆様も、きっと会社で1度はクレーム対応をしたことがあるでしょう。
そして、クレーム対応をする場合は相手の気持ちに寄り添い、たとえ自分が悪くなかったとしても100%自己責任かのように立ち振る舞うはずです。
事前報告をしていなくて嫁ブロックにあった場合も、仕事でのクレーム対応と同じです。
親しき中にも礼儀ありです。
こうなってしまった場合は、やはり自分の配慮が足りていなかった点を反省して相手の気持ちに寄り添う対応をするのが良いと思います。
対処法②.給料が下がる場合はやりがいや中長期目線の説明を行う
上述の通り、年収は生活水準に直結しますのでどんな妻も気になるのは当然です。
仮に年収が下がる転職なのであれば、反対されるのも無理はありません。
この場合、アプローチの方法は2つでして、1つは「給料は下がるけど、やりたい仕事であることを説明する」、2つは「短期的には給料が下がるが、長期的に見るとプラスになることを説明する」というものです。
給料は下がるけど、やりたい仕事であることを説明する
この場合、大前提として短期での転職を繰り返すなど、一貫性のない転職をしていないことが条件となります。
もしも、行き当たりばったりの転職や短期の転職を繰り返している場合はこのアプローチは説得力がないと言えるでしょう。
ただ、もしもはじめての転職や真剣な思いで転職をしてきた人の場合、重要な商談でプレゼンをするのと同じくらいの熱量で妻に対して自分の転職への思いをぶつけるのが良いでしょう。
やはり、必死に訴えかける人の言葉は響くものです。
一度では話が終わらないかもしれませんが、繰り返し必死に訴えかけることできっとパートナーも最終的には理解してくれるのではないでしょうか。
短期的には給料が下がるが、長期的に見るとプラスになることを説明する
結論、会社によって賃金の上昇幅には差があります。
担当者時代は年収が低かったけれど、管理職になると一気に給料がジャンプアップする会社もあれば、逆に担当者時代はそこそこ高年収だったけど、管理職になってもさほど変わりないなどです。
加えて、営業力のある人であれば転職先にインセンティブ手当があることで給料を上げていく余地があるでしょう。
また、給与の構成もしっかりと理解しつつ説明しておくのが大事でしょう。具体的にはこんな感じ。
<給与の説明ポイント>
- 基本給の金額
- 各種手当の金額
- インセンティブ手当の有無
- ボーナスの見込み月数
- 今後の年収見込推移
- 裁量労働、みなし残業の有無 など
一言で年収が上がる/落ちると言っても、鬼のように残業をしてやっと年収が上がるのか、ノー残業で年収が落ちるのかなど、コスパの度合いによっても印象は大きく変わります。
ですので、もしも年収が下がるけど労働時間はだいぶ改善されるような場合、「給料が下がる代わりに妻との時間を増やす」「育児の時間を増やす」「妻の趣味の時間を増やす」などのアプローチができると思いますね。
対処法③.最終的には転職の覚悟を見せることが大切
結論、最終的にはあなた自身が今回の転職に賭ける思いをいかに伝えられるのかに尽きます。
加えて、パートナーもあなたを否定したいわけではなく、何かしら心配して反対している場合がほとんどですので、その心配事をヒアリングするのも大事です。例えばこんな感じ。
<妻が転職を心配に思っていること>
- 仕事にやりがいがなさそう
- 明確な転職観がなく、なんとなく決断したのではないか
- 転職先の良い噂を聞かない
そして、これらの心配事は突き詰めていくと「長く定着して働けないのではないか」という点に落ち着く場合がほとんどです。
うまくいかなければ転職を繰り返すことになりますし、そうなれば夫のキャリアに傷が付くことになりますからね。
ですので、こういった妻の心理を配慮して、今回の転職がなんとなく決めたものではなく、自分の今後のキャリアと向き合った結果であることを順を追って説明していきましょう。
そこには、わかりやすい説明云々という話よりも気持ちが大事です。
「年収ダウン」「引っ越しの発生」「短期間の複数回転職」などの懸念事項については、妻に最大限配慮をしつつ「それでも転職したいんだ!」という思いをしっかりと説明しましょう。
4.企業が面接で転職活動を家族に相談しているか質問する理由
自分の転職活動を思い起こしてみると、最終面接では高確率で家族に転職することを相談しているか?そして、応援してもらっているか?という質問をされたことを思い出します。
これは私が思うに理由は2つありまして、1つ目は嫁ブロックのリスクを抑えておきたいこと。2つ目は嫁ブロックを避ける先読み能力の高さを確認していることです。
理由は内定辞退を避けるため
結論、企業からすると内定を出したものの、辞退されることが一番ダメージが大きいわけですよね。
実際、冒頭のエン・ジャパンの調査の通り、4人に1人の割合で既婚男性は嫁ブロックによる内定辞退が発生しているワケなので、企業からすると「嫁ブロック」の可能性を知りたいと思うのは当然でしょう。
逆に言うと、面接では妻に転職の相談をしようがしていまいが、「相談していない」という回答はNGだと言えます。
なぜならば、「相談していない」と回答された企業側はプロジェクトなどを遂行するにあたっての段取り力が不足していると感じるかもしれないからです。
仮にこの状況の中で、「妻には相談していませんが絶対に大丈夫です!」と言われたとしても、企業からすると何の根拠にもなりません。
であれば、面接対策としては「妻には事前に相談しており、今回の転職活動を応援してもらっています。」と答えるのが模範解答だと思いますね。
企業は採用に多額のコストをかけている
結論、企業からすると「頼むから嫁ブロックを対処したうえで面接に来てくれよ」という気持ちなんですよね。
大量採用している求人ならば良いかもしれませんが、もしも求人枠が1名の中で、候補者をあなた1人に絞った後に内定辞退されてしまうと、求人コストの支払いが長期化する可能性があります。
ですので、企業側としては確実に入社してくれそうかつ優秀な候補者に内定を出したいと思うのは当然です。
そして、企業側は内定を出したものの、断られてしまうケースは何度も経験しているものです。
ですので、妻がいる候補者で「年収が下がる」「勤務地が遠くなる」などの客観的なマイナス要因があればあるほど、嫁ブロックについて面接で確認したくなるのは当然だと言えるでしょう。
おわりに。
ということで、転職の落とし穴である嫁ブロックに関する記事でした。
繰り返しになりますが、妻への配慮と理解を示し、相手の立場で物事を考えることが嫁ブロックの一番の対処法と言えます。
仕事も同じで、相手への配慮がある人はとても優秀なものですよね。
こういった揉め事が内定者の1/4で発生しているとのことで、それは退職交渉よりも大変なのは心中察するところです。
日常的に夫婦のコミュニケーションを取っていき、嫁ブロックを回避していきましょう。
今回は以上です。