昨今、ビジネス系Youtuberや情報商材屋などにより
サラリーマンなんてオワコン。「いつまでも上司にペコペコしなければならない」「給料は年功序列で特に若い頃はたいして稼げない」「時間が自由に使えない」「長時間労働を会社にいつまでも強いられる」。そんな一生で良いのか?稼ぎたくて人生幸せに生きたいのならさっさと独立してフリーランスや副業や起業を始めよう!
という発信をしているのを目にしますよね。
そんな発信を目にしてしまうと、起業家やフリーランス>>>超えられない壁>>>サラリーマンという印象を抱いた人達も多いのではないでしょうか。
確かに、サラリーマンは収入の上限があるのが実態です。そのため、企業やフリーランスが夢のある職業であることは紛れもない事実です。
ただ、昨今のサラリーマンオワコン説はそういったデメリットだけにフルコミットしており、かつそういった説を唱えている人の多くはサラリーマン経験がなかったり、あっても1〜2年の経験に留まっています。
私は、起業やフリーランスの経験がないので、それらを実体験を交えて論ずることはできません。
けれど、サラリーマンとしては社畜の如く約15年を費やして生きてきましたし、部下を持ったからこそ感じるサラリーマンの酸いも甘いも語ることができます。
その経験をしたうえで感じるのは、フリーランスもサラリーマンもそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらが劣る/優れているというわけではないということ。
今回は、そんな私が昨今のサラリーマンオワコン説について私見を述べていきます。
本記事の内容
- 1.サラリーマンがオワコンと呼ばれる3つの理由
- 2.サラリーマンのメリット3つ
- 3.大事なのは発信する人の経歴や実力を見極めること
1.サラリーマンがオワコンと呼ばれる3つの理由
理由①.収入に限界がある
外銀や一部の超大手起業などの社員は例外的にサラリーマンでも数千万という年収が現実味を帯びてくるわけですが、95%のサラリーマンは年収1,000万に満たずに定年を迎えるのが現実です。
一方、SNSでは本当かどうかはさておき、若くして億を稼ぐ人や数千万を稼ぐ人が溢れかえっています。
そうしたPRを盾にして「会社員でいる限り庶民であることは確定=サラリーマンはオワコン」」という発信が増えてきているわけです。
ただ、サラリーマンの良いところは基本給が保証されているところです。
独立して成功している人にとっては「そんな保証なんて不要」と思うかもしれませんが、私の場合は基本給で数百万の賃金があることで得られる精神的な余裕は計り知れません。
一方、独立すると完全に売上にフルコミットであり、何もかもが自己責任ですので、どんなに働こうが売れなければ収入が得られません。
逆に言うと働かなくとも売上があれば収入は確保できるので、実力があれば生産性は非常に高いかもしれません。
なお、サラリーマンでも最近では副業によって収入を上げる選択肢が取れるような世の中になってきました。
そう考えると、サラリーマンのメリットである基本給を教示しつつ、副業にフルコミットして収入を伸ばすいいとこ取りの働き方もできるようになっていきています。
今後はそういった自由な選択肢が取れるにも関わらず、サラリーマンの働き方のみがオワコンと言われるのはイマイチ理解できなかったりしますね。
なお、副業に肯定的な世の中になりつつあるがゆえに副業詐欺的の事例も増えてきていますので注意が必要です。
理由②.終身雇用が崩壊している
一昔前のサラリーマンと言えば、入社したらその会社に忠誠を尽くし、一つの会社で勤め上げるというのが当たり前でした。
これは、前提として会社が社員を生涯守ってくれる「終身雇用制度」があったからとも言えます。
しかしながら、この終身雇用こそ、もはやオワコンと言える時代になってきました。現に、2019年にトヨタ自動車の豊田章男社長自らがこのような発言をメディアにしています。
「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」
そう。終身雇用という前提こそが、もはやないに等しいのです。
増加するリストラ、転職活動の活発化、年功序列に反した成果報酬制度の導入活発化など、従来サラリーマンにとっての「安定」であったものが根こそぎ剥がされているような時代と言えます。
このように、従来の拠り所である終身雇用が崩壊していることから、サラリーマンはオワコンと呼ばれるのでしょう。
ただ、一般的に企業の寿命は30年と呼ばれています。
新卒で22〜25歳で入社し、30年勤めるとしても、定年には足りません。
そう考えますと、そもそも終身雇用なんて体力のある大企業限定の話だったとも言えます。
ですので、今更この話を持ち出してサラリーマンオワコン説を唱えるのは、自分の持っている情報商材などに誘導する都合の良いポジショントークと言えるでしょう。
理由③.自由な働き方が難しい
結論、サラリーマンは起業した場合やフリーランスとは違って、働き方に制約が多いです。
転勤を命じられれば、縁もゆかりもない場所であっても転勤しなければなりません。
異動を命じられれば興味のない仕事もやらなくてはなりません。
上司もガチャのように変わっていくし、会社の方針だってトップが変わればガラッと変わっていく。
さらに、上司への説明ばかりが仕事になったり、無駄と思えるような会議が多くなったりと、「これって意味あるのか?」と思えるような仕事もサラリーマンである以上避けては通れないこともあります。
このように、働き方を選べないうえに無駄が多く生産性が悪いという側面があるのでサラリーマンはオワコンと呼ばれるわけです。
ただ、昨今ではNTTグループが転勤を廃止するリモートスタンダードを導入したりと、サラリーマンでも自由な働き方を模索する動きが進んでいるのも事実です。
また、昨今では転勤は時代遅れな制度であるとの考えも進んでいまして、その詳細は【理不尽】全国転勤という制度は意味不明であり時代遅れであるという事実という記事で解説しておりますので興味があれば是非ともご覧ください。
2.サラリーマンのメリット3つ
結論、私が思うサラリーマンのメリットは以下の通り。
<サラリーマンであることのメリット>
- 自分よりも立場が上の人に対しての処世術が身につけられる
- 個人ではなし得ないような規模感の仕事ができる
- 社会的な信用が高い
- 有名企業で働いた実績が自分のキャリアに箔を付ける
- 消費者目線で物事を考えられるようになる など
一部の方からはサラリーマンはオワコンと言われていますが、上記のようにサラリーマンであることではじめて得られるメリットも多いです。
そして、ここからは上記の中でも特に私がメリットと感じる3つの内容について触れていきます。
メリット①.個人ではなし得ないような規模感の仕事ができる
私は今グループ企業数万人規模の大企業で働いています。
そんな大企業で勤めている結果、個人では集客できないような仕事ができるのは間違いなくサラリーマン特有のメリットと言えます。
例えば、過去に新サービスのリリースに合わせ、数十規模のマスメディア各社を招き入れたた記者会見を大々的に実施したことがあります。
こういった経験って、資金力やマスメディアと多数のコネクションのある大企業でなければ簡単にはできない芸当です。
さらに、自己資金ではなく会社の資金でこういった社会的にインパクトのある仕事ができることは、まさにサラリーマンの醍醐味だと思うんですよね。
確かに、収入の上限はあるし、上の年代が多くて出世できない等の不条理があるなど、サラリーマンには理不尽なことも多いのは事実です。
ただ、世の中の不条理を経験しているからこそ、同じ境遇の人達の苦しみが理解できるので、結果的に世の中に求められる厚みのある人材になれると思うんですよね。
だからこそ、独立するのは素晴らしくて勇気ある行動だと思うんですけど、サラリーマン=オワコン!って切り捨てるんじゃなくて、しっかりとサラリーマンの良いところも取り上げたうえで、客観的にメリデメを発信して欲しいと思うワケです。
なお、サラリーマンの中でも大企業で働く人達は一層オワコンと言われたりしますが、そんなことはないぞ?というのが率直な所感です。
その理由については大企業の社員が無能と言われる3つの理由について大手企業社員が私見を述べますという記事で触れていますので、興味があれば是非ともご覧ください。
メリット②.社会的な信用が高い
終身雇用が崩壊したと言っても、サラリーマンの社会的信用は依然高いと言えます。
この社会的信用があることによるメリットは多いです。
結婚の挨拶で相手の親御さんと相対するとき、車や住宅など高額商品を購入してローン審査を受ける時などに「この人は信頼できる人間」というイメージが前段としてあるわけです。
こういったイメージ=プラス要素が前段にあるため、プライベートでの審査など交渉事がうまくまとまりやすい、対人関係がうまくいきやすいというのはサラリーマンのメリットと言えるでしょうね。
逆に言うと、フリーランスという働き方は厚生年金もないですし、有給休暇もありません。
解雇や残業の規制もありませんので、実力や他人からの評価が本当にモノを言う世界です。
そのため、顧客であるクライアントの立場になって物事を考えられる人材でなければ露頭に迷う可能性があるのはリスクと言えます。
なお、相手の立場になって物事を考えるスキルはサラリーマン・フリーランス共に共通して重要なものです。
その理由についてはビジネスで相手の立場に立って考える3つのメリットとは【実践する方法も解説】という記事で触れていますので、こちらも興味があればご覧ください。
メリット③.有名企業で働いた実績が自分のキャリアに箔を付ける
元リクルート、元Google、元Amazon。例えば、こういった経歴が冠にある経営者って「凄いなぁ」って思いますよね。
結論、一度会っていざ商談に入ってしまえば相手が大手企業社員だろうが経営者だろうが実力で判断されるワケなのですが、個人のブランドという意味では、有名企業で働いていたという事実はキャリアに拍が付くと言えます。
実際、入社難易度の高い企業は周囲の人材レベルも高いので、そういった環境で揉まれた経験は独立や転職してからも生きてくると言えるでしょう。
3.大事なのは発信する人の経歴や実力を見極めること
大企業の役職者は総じて能力が高い
私の場合、15年以上もサラリーマンをやっているので、1年目や2年目の若手に比べて、俯瞰して全体を見渡せるのはある意味当然です。
そして、最近では大企業の部長以上の役職者と会話したり指摘を受けたりすることも増えてきました。
その経験から思うのは、大企業で出世している人達ってなんだかんだでメチャクチャ実力があるんですよね。
結果、上司との差も痛感することも多いし、「自分なんてまだまだだ」と思いながら日々仕事をしています。
確かに、収入だけ見てみると実力があるのに1,000万〜1,500万くらいに収まっている人達は非常に勿体ない選択をしているのかもしれません。
ただ、それは収入という側面だけとも言えます。
日々理不尽を感じつつ、優秀な経営者からあれこれ指摘されることで得られる経験と成長はサラリーマンのメリットとも言えると感じています。
サラリーマン=オワコン説を唱える人ほどサラリーマンを大して経験していない
結論、サラリーマンをオワコン視する人ほど、1〜2年しか会社員経験がないものです。
例えるならば、皿洗いばかりを1年くらいやって退職した料理人の見習いが、「料理人なんてオワコン」と言っているようなもんです。
ですので、オワコンと主張している人の経歴を見極めて情報の妥当性を判断するのが良い気がしています。
サラリーマン、フリーランス、どちらの道に進むにしても、ある程度一線級でガッツリ働いた経験がモノを言うと思います。
社会人経験の未熟な若手こそ誰よりも必死になって汗水働き、社会人としての足腰を鍛えるのが後々成功するための秘訣だとも思うんですよね。
そう考えると、政府が今副業を推進していますけど、それは3年以上必死に働いた後のステージだと感じています。
ましてや、新入社員から本業をそこそこに副業にコミットするのは結果稼ぐことから遠回りだと思っていますね。その詳細は新卒から副業すべきという論調に注意喚起。新入社員はまず実力を付けましょうという記事で解説しております。こちらも興味があれば是非ともご覧ください。
おわりに。
ということで、サラリーマン=オワコン説についてのまとめ記事でした。
世の中で起業や独立し、成功している人は凄いなぁと心から尊敬します。何が凄いってその勇気と決断力にです。
ただその一方で、サラリーマンはサラリーマンのメリットがあるし、起業やフリーランスのメリットも当然ある。
逆に言うと、双方のデメリットもあるわけなので、どっちが優れているとか劣っているとかそんな単純な話ではないと思いますね。
まとめると、サラリーマンはオワコンという主張は、サラリーマンをやり尽くしてから言いなさい!ということですね。
今回は以上です。