「施工管理はやめとけ」の理由8つ。建設業界で10年働いた私がヤバい実態を解説

2021年3月23日

施工管理の仕事に興味があるので転職したい。

 

未経験でも大丈夫だという声が多いし、給料も良さそうなので興味がある。

 

けれど、「施工管理は激務でやめておけ」と噂で聞いたことがあるので気になっているので実態を知りたい。

 

こういった疑問をお持ちではありませんか?

 

結論から言うと、施工管理の仕事は超絶過酷です。ですので、心から建築というものが好きであり、どんな困難にも屈しない意思がある人以外には絶対におススメしないです。

 

なぜそうまで言い切れるかというと、私自身が過去に施工管理という仕事を経験し、建設業界に約10年間携わってきたから。

 

そして、今では他の業界で働いているのですが、他の業界で働いた経験があるからこそ、施工管理という仕事の過酷さやおかしいところを客観視することができるようになりました。

 

今回は、施工管理という仕事がどのように過酷なのか、向いている人はどんな人なのかを実体験を踏まえて解説していきます。

 

本記事の内容

  • 1.「施工管理はやめとけ」の理由8つ【体験談込み】
  • 2.施工管理をやめておいたほうが良い人の特徴6つ
  • 3.施工管理に向いている人の特徴5つ
  • 4.施工管理の年収は高いが時給は低い
  • 5.施工管理として働くメリット5選

 

1.「施工管理はやめとけ」の理由8つ【体験談込み】

 

理由その①.圧倒的に激務

結論、施工管理という仕事は残業が非常に多い仕事です。

 

繁忙期になれば終電で帰れないことも起きますし、4時間も寝れないどころか徹夜が続くこともあります。

 

そして、施工管理という仕事の日常を簡単にまとめるとだいたいこんな感じ。

 <施工管理という仕事の1日>

  • 朝5時起床
  • 7時に現場事務所入り。8時からはじまる朝礼の準備を行う
  • 8時から朝礼開始。元気にラジオ体操を行う
  • 12時頃お昼休憩。ただし、現場トラブルで昼食抜きになることは茶飯事
  • 17時頃に職人さんは作業終了
  • 18時~20時。現場打合せや定例会議などに出席
  • 20時~23時。翌日の作業内容確認や施工図の修正、部材発注などを実施
  • 23時に業務終了

 

これは一例ですが、このスケジュールはまだ恵まれているほうかもしれません。

 

一般的に、過労死になりかねない残業時間は月に80時間以上とされていますが、施工管理の仕事では過労死ラインを大幅に超えて100時間、150時間といった残業をこなすことも珍しくありません

 

また、近年は国交省が元請けの土木工事では週休2日の現場も増えてきているようですが、建設は施主が民間になりますので現場で働く人達のワークライフバランスはなかなか考慮されません。

 

その結果、2023年になっても土曜日に稼働している建設工事現場はまだまだ多いですし、同時に土曜日働く現場監督も相応にいるのが現状です。

 

結論、職場が「ビルがどんどん建つような都内」なのか「地方都市」なのかと、担当する現場によって過酷さは大きく左右されます。

 

ですので、中には残業が月60〜80時間に満たない人もいるでしょう。ただ、割合としては少数だと思いますね。

 

ちなみに、私の元同僚では月に4日休みで年間50日という人も結構いましたし、仮に土日で勤務上休みだったとしても現場からの電話が平気で何十件もバンバンかかってくるような世界でした。

 

そして、下記は国土交通省が2018年に発行している「建設業における時間外労働について」という文献の一部です。

 

2019年、労働基準法が改正されて36協定の遵守がより厳格化しました。

 

ただ、建設業は2019年時点で残業を月30時間に収めるなんてどう考えても無理でしたので、運送業と共に残業規制の適用時期が2024年となっています

 

 

つまりは、国も「建設業は忙しすぎるので年間360時間なんて時間じゃ無理でしょう」と当時認めていたわけです。

 

だからといって、働き方改革の一貫で工事発注量が減るわけでもないし、建設業は忙しくてハードな職場というイメージがあるので、若手が定着せずに人手不足の問題が顕著となっています

 

今の建設業界は若手が少なく50代以上の人口が多いので、若手の人手不足を中堅が補う構図となり、今業界で働く20代〜30代にしわ寄せが来るであろうヤバい状態であることは知っておいて損はないと思いますね。

 

なお、建設業界が人手不足になっている理由については建設業が人手不足なのは当たり前。10年間業界にいた私がその理由5つを解説!という記事で詳しく触れていますので、是非ともご覧ください。

 

日建協が発行している「2021 時短アンケートの概要」によると、残業理由の第一位は「社内書類等の事務処理業務が多い」となっています。

 

体感的にもそうですが、建設業界の現場は書類提出が多すぎるんですよね。

 

安全を追い求めた結果、あらゆる観点で安全性を証明する書類の提出が増えていく構図です。

 

そのため、書類削減による効率化は諦めの方向にあり、社内業務を標準化させて効率化するなどの対処法に力を入れているようです。

 

ちなみに、建設業全体の労働時間は建設業の働き方改革の現状と課題」によるとこのようになっています。

 

2007年から比較すると、労働時間は年間で80時間減少し、年間出勤数は12日減少しています。

 

ただ、全産業で2007年比較をしてみると労働時間は年間で186時間減少し、年間出勤数は21日減少しています。

 

相対的に見ると他産業との労働時間の差は広がっていますので、若い人が定着しない状況となっています。

 

そうなりますと、

 

じゃあ建設業界に転職するんだったら施工管理以外を避ければ良いんだな

 

という単純な話ではなくなってきます。

 

結論から申しますと、建設業界が忙しいのは工事現場だけが悪いわけでなく、建設業界自体が異常でおかしいことが理由なので、可能な限り建設業界自体を避けるのが無難でしょう。

 

なお、私が感じる建設業界のおかしな点に関しては別記事でまとめておりますので興味がありましたら是非ともご覧ください。

✓関連記事
【やばすぎ】建設業界はおかしい!業界で10年勤めた私が理由5つと業界の闇を解説

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理由その②.休みが少ない

結論、施工管理の仕事は週休2日確保するのは困難であり、基本的に土曜日は稼働日です。

 

国土交通省が令和3年11月に発行した「建設業の働き方改革の現状と課題」によると、業界全体で約35%の人が週休4日以下の状況となっています

 

土木は発注者が国であることが多いので、少しずつ週休2日の現場も増えているようですが、建築は発注者が民間なのでなかなか変わることが難しい現状があるようです。

 

実際、データを詳しく見てみると建築分野では約45%の人が週休4日以下の状況です。

 

4週4日休んだとしても、単純計算で年間休日は48日です。GW・夏・年末年始を加味しても年間60日休めるかどうかの人が45%もいるのはなかなか厳しい現実ですよね。

 

さらに、土曜日に現場が稼働しているということは、土曜日の仕事で新たにトラブルや追加課題などが見つかる可能性もあるでしょう。

 

結果、土曜日や祝日も電話対応や資料作成などで仕事をする可能性が高くなりますし、過去働いていた会社の同僚の姿を見てもこのような悲惨な実態でしたね。

 

そして、繁忙期は土曜だけではなくて日曜日や祝日も現場は稼働しますので、休日もゆっくり休めないのが施工管理の特徴なのです。

 

理由その③.所長や職人から怒鳴られ、メンタルがボロボロになる

施工管理って、単純に業務量が多い・休みが少ない・立ち仕事で体力がきつい・現場が汚くてキツいところがクローズアップされがちですけど、何よりもキツいのが恫喝・パワハラとも言ってよいほどの罵声を浴びることだと思うんですよね

 

結論、工事現場って毎日何かしらトラブルがあるものです。例を挙げますとこんな感じ。

 <工事現場のトラブル例>

  • 施工図面が古くて工事してはいけないところに工事をしてしまった
  • 発注が間に合わずに作業がストップしてしまった
  • 労働災害が発生してしまった
  • 職人同士のトラブルが発生してしまった
  • 近隣住民からクレームが入った など

 

工事現場は生き物みたいなものなので、進捗によって作業NG場所が出てきたり配管や配線の経路が変わったりと、日々注意しなければならないポイントは変動していきます。

 

それに伴い、施工図面の編集や修正というのは図面編集業者などによって工事期間中日常的に行われていきます。

 

ただ、施工図面の更新版が現場に情報共有されていなくて、工事業者間のトラブルになる事例は後を絶ちません。

 

図面屋さん、図面編集しているなら共有してください!

 

と必死に訴えると

 

え?オタクの上司の●●には言っておいたんだけど?

 

みたいな「上司ふざけんなよ・・・」というケースは結構よくありましたね。

 

そして、最終的にはこういった失態が誰の責任かというと当然現場監督の責任になります。

 

この例ですと、古い図面をもとに職人さんが既に作業をしていた場合、作業のやり直しをお願いすることになります。

 

現場の状況によっては自社だけでなく他社さんの後工程まで進んでしまっているケースもあるので、作業を止めてやり直しをお願いすることで血の気の多い職人さんからブチ切れられる可能性は高いでしょう

 

また、そうした管理不届きの報告が現場の所長にも伝わった結果、所長からも

 

おい。どんな段取りしているんだよ。ちゃんと確認しろよこの野郎!!赤字になったらどう責任取ってくれるんだ?

 

というお叱りを受けるわけです。

 

このように、多方面から怒鳴られたり詰められたりするストレスは本当にキツいので、まともな精神をしていたら本当に心が持たない大変な仕事なのです。

 

また、施工管理という仕事は名前の通り工事の進捗を管理する仕事なのでマネジメントスキルが高く要求されます。

 

チームを取りまとめした経験があるなど統率力の高い人であればよいのですが、人に指示を出すのが苦手だったり、交渉や折衝が苦手な人には辛い仕事だと言えるでしょう。

 

理由その④.作業環境が劣悪すぎる

結論、工事現場の服装は長袖ズボン+ヘルメットです。

 

工事現場はオフィスのように空調が効いているわけでもなく、簡易的な扇風機やヒーターだけで温度管理されているケースが多いので、真夏や真冬の作業はかなりキツイです。

 

こうした過酷な環境については慣れもありますが、地球温暖化により熱中症注意報がテレビなどで報道される世の中において、真夏に空調のない場所で長時間長袖作業するなんてマジで地獄です。

 

建設現場ってコンクリに囲われた状況なので、真夏は平気で40℃くらいになったりしますからね。

 

また、施工管理マンは職人さんとは違って身体をずっと動かしているわけではないので、真冬の寒さで長時間たたずんでいることによる辛さもあります。

 

業界経験の長い人は一般の方よりも体力がかなり高いと思いますが、それでも実際に熱中症で搬送されたりする人は一定数います。

 

夏の現場では毎日のように朝礼で「熱中症に注意して、塩分を接種するように」とアナウンスがされていたのは記憶に新しいですね。

 

本音を言うならば

 

熱中症が出ないように最低限の温度管理はできないのか・・・ゼネコンは利益取っているだろ・・・

 

って感じです。

 

加えて、3K(きつい、汚い、危険)という言葉にもあるように、例えば工事現場のトイレは仮設トイレなので匂いはキツいし落ち着いて長時間いるような空間ではありません

 

オフィスワーカーですとキレイで清潔感のあるトイレを利用している人も多いでしょうが、それとは完全に切り離された世界だと言えます。

 

粉塵もバンバン舞いますので、喉の弱い人は声がおかしくなるなど、通常の仕事では経験しない様々な辛さがありますので、施工管理は総じて過酷かつ体力が求められる仕事だと思いますね。

 

どうしても40代、50代になると体力が落ちていきますので、若いうちは良いが、将来は続けていくのが厳しい職種と言えるでしょう。

 

なお、個人的に仕事において体力は何よりも重要だと言っても過言ではないと思っていまして、その詳細については【目指せ一流】ビジネスパーソンに必要なのは心技体よりも体技心【身体が資本】という記事で触れております。興味があれば是非ともご覧ください。

 

理由その⑤.誰も助けてはくれない

結論、建設業界は人手不足なので余裕がありません。

 

その結果、施工管理をしてトラブルに巻き込まれたり困った出来事があったとしても、相談できる相手がいなかったり頼る人がいなくて途方に暮れる大変さを感じる可能性が高いです。

 

大型の現場になれば担当者が複数いたりしますけど、その場合も同じ管轄を複数の人数で管理するのではなく、「あなたの担当はこのエリアね」といった感じで責任範囲が明確な場合が多いです。

 

ですので、結局は「自分の担当エリアの進捗は自分しかわからない」となってしまうことになります。

 

私の場合、自社で頼る人がいないからこそメインで動いてくれる職人さんと関係構築を図って困ったときには職人さんに頼れるよう調整をしてきましたが、職人さんにも頼れない悩める施工管理マンも多いと思います。

 

自分がどんなに辛かろうとも、周囲もギリギリの状態で日々やっているわけです。

 

ですので、助けを求めたところで周囲の余力も0なので、むしろ「お前何弱音吐いているんだよ」とどヤされかねません。

 

結果、施工管理という仕事は減量中のボクサーのように、研ぎ澄まされたギリギリの感覚で仕事に向き合うことになります。この孤独感が本当にキツいわけです。

 

だからこそ、最終的には施工管理マンはどんな辛い状況でも自分でなんとか逆境を打破するマインドが求められますし、長く施工管理をしている人は問題解決力がメチャクチャ高いのが特徴です。

 

なお、私自身はこうした相談できないような職場環境から転職して今に至るのですが、やはり困った時に助けを求められない環境はキツいと思っていますし、成果を出すのも難しいと感じています。

 

その理由については【仕事遅い】仕事で上司や同僚に相談しない人が損する3つの理由【残業多い】という記事で解説しておりますので、こちらも是非ご覧ください。

 

理由その⑥.現場と会社の板挟みに合う

上述の通り、施工管理の仕事って繁忙期には寝る暇もないくらいに忙しいんですよね。

 

けれど、2024年からは残業規制も始まってしまうので、会社の上司からは「現場の立ち会いはほどほどにして事務作業も並列でやっておけよ!」「残業少なめに抑えろよ!」と無理難題言われることになります。

 

ただ、この指示に従って現場立ち会いしないときに限ってトラブルがあったりするので気が抜けません。

 

仮に現場不在でトラブルになると、元請けの会社や現場所長からは「現場を観るのが施工管理だろ!基本的には現場にいろよ」と言われ、会社と現場の板挟みになっていくわけです。

 

こういった危機管理に対処するという意味でも、施工管理には折衝力が問われる仕事だと思いますね。

 

理由その⑦.サービス残業が多い

上述の通り、働き方改革で残業規制が厳しくなる一方で、仕事が一向に減らないのでサービス残業が常態化してしまう課題があります。

 

この背景には増え続ける仕事量があると思っていまして、施工管理を長くやっている先輩に仕事の中身を聞くとほぼ全員が「提出書類などの量が圧倒的に昔と比べると多い」と言います

 

国や建設業の基本的な考えは、事故が発生したら原因を追求し、事故が発生しないように対策を練ることです。至極正論ですよね。

 

もちろん、これは考え方としては正しいのですが、対策の取り方が「書類の提出」となる点が仕事量の増加を招いています。

 

どういうことかと言うと、工事を始める前やその日の工事を行う際の作業要領書などで、

 

過去事故を起こしたような危険作業はしません。起こり得ません

 

ということを書類にまとめるワケです。

 

こうした作業が、大きな事故が世の中に起こると増えていきますし、工事現場で労災事故が発生した場合はより厳しく事故の再発防止として書類の提出量が多くなる特徴があります。

 

その結果、やらないといけない仕事は増えるけど工期は決まっているので残業せざるを得ない体制が出来上がるワケです

 

普通に考えて、タダ働きを強要されるような仕事ってやりたいと思いませんよね。

 

ただ、建設現場ではそんな当たり前の本音を抱えつつ「休みたい」「仕事したくない」と思っていても残業せざるを得ません。

 

なぜかというと、大量の残業をしないと工事が終わらないからです。

 

ですが、残業時間はどこかで切り捨てになってしまい、入ってくる給料が一定な点は施工管理のブラックな点でしょうね。

 

理由その⑧.転勤が多い

結論、施工管理の仕事は全国に無数に建物がありますので転勤が多いです。

 

日建協が発行している「2021 時短アンケートの概要」によると、2020年度時点で建設業外勤者の43.4%は単身赴任をしています。

特に転勤が多いのが土木施工管理を担当している方で、単身赴任をしている人の割合は半分を超える54.6%になっています。

 

土木の現場は地方の田舎が多いので、単身かつプライベートも楽しめない場所に会社都合で転勤させられることが多いのは施工管理の辛いところだと言えます。

 

なお、転勤という制度はもはや時代遅れだと思っていまして、その詳細は【やめとけ】全国転勤がある会社は意味不明であり時代遅れである事実【理不尽】という記事で解説しております。興味があれば是非ともご覧ください。

 

2.施工管理をやめておいたほうが良い人の特徴6つ

 

施工管理に向いていない人の6つの特徴

結論、以下に該当する方は施工管理という仕事をこなしていく中で理想と現実のギャップに苦しみ、辞めてしまう可能性が高いと思います。

 <施工管理に向いていない人の特徴>

  • ワークライフバランスを重視している人
  • 仕事にやりがいを重視している人
  • 理不尽なことが許せない人
  • 体育会系のノリが苦手な人
  • 転勤は絶対嫌な人
  • 自分で判断ができない人 など

 

理由のほとんどは上述の通りで、建設工事の現場が汚くて激務で理不尽であることに耐えられない人は施工管理という仕事にマッチしない可能性が高いです

 

なぜならば、「なぜこんなに書類が必要なのか」「なぜこんなに残業が多いのか」「なぜこんなに怒られなければならないのか」など、一般的な感覚からすると理不尽に感じることが多すぎるからです。

 

理不尽な例

・自分の管轄外である工事の不手際で所長から怒られる

・歩いての通話禁止など、現場特有の意味不明なルール違反で怒られる

・近隣住民からの理不尽な工事クレームで怒られる

・態度が悪い、覇気がないなどいちゃもんのような理由で怒られる

・現場所長の気分で同じことをしても怒られたりする など

 

このように、現場監督をしていると「そのルール、何なの?」と思ってしまうような理由で怒鳴られたりするので、怒られることに敏感な人は施工管理に向いていないです

 

特に、現場慣れしていない頃は毎日が修業期間となるため、風当たりも厳しいことから施工管理という仕事にキラキラとしたイメージを持っているとギャップでメンタルがボロボロになってしまう可能性は高いでしょう。

 

施工管理にやりがいを求めるのは危険

結論、「仕事にやりがいを求める人」は施工管理にマッチしない可能性が高いです。

 

施工管理の求人情報を見ると、

 

自分が担当した建物が形として残ることにやりがいを感じられる仕事です。

 

という決まり文句が多いですが、私の経験上施工管理の仕事をしている半数程度は「自分が担当した現場は竣工後には近づきたくない」と言っています

 

私自身このタイプだったので気持ちがわかるんですけど、現場仕事をしていた時の辛い思いがフラッシュバックしそうで心底嫌なんですよね

 

施工管理のやりがいって、プライベートの時間と睡眠=健康を犠牲にして得られるものなので、正直現場が竣工するまではやりがいなんて感じられず、「現場を終わらせなければならない」という焦燥感しかないんですよね。

 

そのため、いざ現場が竣工しても達成感というよりも「安堵」の気持ちが高く、現場が終われば次の現場が待っているので、実際に働いてみるとやりがいを感じられるシーンはほとんどない可能性もあるでしょう。

 

自分で判断ができない人は施工管理に向いていない

結論、施工管理をしていると毎日のように職人さんから「ここの工事はどうすれば良い?」と判断を求められます。

 

基本的に一度工事を進めてしまうと後戻りするには追加の費用が発生するので、都度の判断は相応の責任が伴うことになります。

 

ですので、自分の判断に自信がなかったり判断すること自体に不安を感じる人は施工管理に向いていないと思います。

 

3.施工管理に向いている人の特徴5つ

 

施工管理に向いている人の特徴は5つ

結論、よほどの覚悟がない限りは施工管理はおススメしないんですけど、とはいえ建設が好きで「モノづくりに携わりたい!」という熱い思いを抱く人も一定数存在します。

 

また、辛い仕事であったとしても自分がしてきた仕事が建設物という目に見える形で残るのも、施工管理の大きなやりがいの一つと言えるでしょう。

 

このように、どうしても施工管理をやりたい人向けに施工管理に向いている人の特徴を紹介するとこんな感じ。

 <施工管理に向いている人の特徴5つ>

  • 圧倒的に体力がある
  • スケジュール管理やマルチタスクができる
  • プライベートの犠牲を厭わない気持ち
  • 体育会系のマインドを持っている
  • 交渉力や折衝力がある など

 

施工管理の仕事には体力と気力が必須

まず、大前提として施工管理はキツい仕事なので体力が必要不可欠です。

 

加えて、たまに取れた休みの日も現場から電話がかかってくることも多いので、「休みの日も場合によっては仕事ばかりしている」ことに苦痛を感じないマインドが大事だと思います。

 

私の場合、休みは休みで仕事を忘れたいタイプだったので休日の電話対応がかなり苦痛でした。

 

そのうえで、毎日のように訪れる現場トラブルや追加工事が発生した際の元請けとの交渉なども多いので、折衝力がある人は施工管理に向いていると思いますね。

 

現場で工事を進めていると、「この場所で当初予定していなかった工事をしないと先に進めないぞ」といった感じで予期せぬ作業が必要になることが多いです。

 

本来こうした追加作業に関しては元請けからしっかり工事費用を貰わないといけないのですが、建設業界ではそこを丸め込まれてしまうケースが多いです。

 

こうした風習は、建設業界が多重下請け構造であり、ゼネコンの給料は増えているのに職人の給料は一向に上がらないことにも現れているでしょう。

 

ただ、こうした理不尽な状況の中でも、しっかりと工事の必要性を元請けに説明&交渉を行い「やった作業はしっかりと追加請求できる」施工管理担当者は会社からも評価されますし、この交渉事は施工管理担当の面白みであることは間違いありません。

 

ですので、交渉力は施工管理の仕事をするうえで大きな武器となるでしょう。

 

なお、施工管理を志す人は理系の人が多く、同じく理系職種の設計職のどちらを目指せば良いのか悩む人も多いのではないでしょうか。

 

結論、私自身はどちらもおすすめはしていないくて建設業界以外の仕事が良いとは思うものの、両者の仕事の違いは施工管理と設計のどっちに転職すべき?求められる適性の違いを元業界人が解説!という記事で解説しておりますので、興味があれば是非ともご覧ください。

 

繰り返しになりますけど、施工管理は想像以上に心身にストレスがかかるハードな仕事ですので、覚悟したうえで施工管理の仕事を目指すのが良いと思いますね。

 

リーダーシップやマネジメント力のある人は施工管理に向いている

結論、建設現場の仕事って男子校の部活のような雰囲気なので、圧倒的なリーダーシップを持っている人は施工管理に向いていると思います。

 

リーダーシップの高い人は施工管理だけでなくどんな仕事でも活躍することが多いですが、体育会系の建設現場ではなおさら統率力が光るでしょう。

 

なお、施工管理は必ずしも俺様気質の人でなければ活躍することができないかと言われると、決してそうではありません。

 

冷静にその場その場で職人さんや所長とコミュニケーションや会話ができる人は現場監督として周囲から信頼されていきます。

 

もちろん、リーダーシップとマネジメント力の両方があれば最強ですが、どちらか一方の能力が備わっていれば施工管理として活躍することは十分可能だと思います。

 

4.施工管理の年収は高いが時給は低い

結論、施工管理の仕事は年収が高いです。

 

転職エージェントのdodaが公表している2020年の職種別平均年収ランキングでは10位という結果でしたので、高収入という点に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか

 

2020年職種別平均年収ランキング

1位:投資銀行業務 819万円

2位:運用(ディーラー) 748万円

3位:戦略/経営コンサル 724万円

4位:MR 697万円

5位:業務改革コンサル 688万円

6位:内部監査 670万円

7位:リスクコンサル 668万円

8位:プロジェクトマネージャー(IT/通信) 664万円

9位:プリセールス 658万円

10位:プロジェクトマネジメント(建築/土木) 652万円

<参照元>

平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】 |転職ならdoda(デューダ)

 

一方で、結論から言うとその高収入は多大な残業代が要因です。

 

同じくdodaが発行している2019年の職種別残業時間ランキングですと、施工管理職は残業の多い職種として堂々の1,2フィニッシュでした。

 

2019年職種別残業時間

1位:設備施工管理 41.6時間

2位:建築施工管理 36.7時間

3位:食品/消費財メーカー 35.9時間

4位:プロデューサー/ディレクター 35.3時間

5位:ITコンサル 34.4時間

6位:土木施工管理 34.2時間

7位:総合商社 34.0時間

8位:設計監理 32.6時間

9位:店長 32.3時間

10位:法務アシスタント 32.0時間

 

<参照元>

残業時間ランキング2019 ~残業時間が多い職種は?少ない職種は?~ |転職ならdoda(デューダ)

 

上記のデータから、施工管理職は年収が高めである一方で、その要因は残業代となります。

 

そして、上述の通り上記の年収はサービス残業を含む残業代が要因ですので、時給換算すると全然高給とは言えないケースが多いです

 

加えて、2024年からは残業の規制が始まりますが発注者が工期を緩くしてくれない限りは労働量が減ることもないでしょう。

 

その結果、仕事量は減らないけど付けられる残業時間は減るので、サービス残業がただ増加していくことになります。

 

とはいえ、年収ベースでは施工管理の給料はまだまだ良い部類になると思いますが、肉体的にも精神的にもかなりキツい思いをしたうえでの年収になりますので、コスパは相当悪い職種になるでしょう。

 

世の中、もっと効率よく稼げる会社や職種は山ほどあります。

 

私自身、建設業界から異業種に転職してみて残業20〜30時間で建設業界にいた頃よりも年収アップが実現できましたので、それを肌で感じているところです。

 

なお、私が建設業界から異業種に転職して良かったと感じている点や異業種転職に不安を抱える人向けに【怖い】30代で2回異業種転職した私が不安の対処法を5つ解説【きついと感じた体験談も】という記事で悩みの対処法を解説しております。こちらも興味があれば是非ともご覧ください。

 

5.施工管理として働くメリット5選

 

これまで施工管理のデメリットを中心に書いてきましたが、もちろん施工管理という仕事にはメリットもあります。

 

結論、スポーツ選手がキツい練習の見返りとして能力を高めると同じ理屈で、施工管理という仕事をこなすことができれば自分への見返りは大きいです。

 

そして具体的な中身はというとこんな感じ。

 <施工管理で働くメリット>

  • 未経験でも働くことができる
  • 仕事を自分でやり切る癖が身につく
  • ストレス耐性が鍛えられる
  • 激務をこなせる体力が身につく
  • 折衝能力が鍛えられる など

 

メリット①.未経験でも働くことができる

上述の通り、建設業界は人手不足という課題に直面しています。

 

その最たる理由が施工管理が激務であることなので、各社「猫の手でも借りたい」状態がここ数年続いているわけです。

 

ですので、採用する企業としては

 

施工管理の経験があればベストだけど、激務に耐えられそうなガッツある人材だったらぶっちゃけ誰でも良いんだよな・・・

 

という心境なので、施工管理の求人は比較的入社難易度が低いです。

 

また、経験上「前職施工管理をやっていた人が同じ施工管理の職種で転職する」ことは少ないので、ライバルも未経験の人材が少ないことも入社難易度を下げている要因と言えます

 

上述の通り施工管理の経験があればかなり内定に近づくでしょうが、ブラック企業で働いてきた経験があるとかなり内定に近づくでしょう。

 

正直、施工管理という仕事は激務でブラックな環境なので、採用求人の要件には明記されていないものの、企業側としては「ブラックな環境でも定着できる人材か」を最も気にしています

 

これらを総合すると、施工管理は未経験でも働くことができますし、残業が多いものの稼げる職種であり入社難易度が低めであることがメリットの一つです。

 

メリット②.仕事をやり切る姿勢が身につく

結論、施工管理という仕事にどっぷり漬かっていると、建築の工程がどんなに遅れていようが何とかして納期に間に合わす姿勢が自然と身に付きます。

 

私は、建設業界から異業種に転職して4年になりますけど、他の業界だと「仕様が変わったから納期が1か月ずれる」といったことは結構当たり前に行われることに最初は驚いたものです。

 

ぶっちゃけ、この点に関してはどう考えても建設業界の考え方がおかしいんですけど、どんなに理不尽な工程だったとしても死にものぐるいで終わらせようとする姿勢って、転職したときにめちゃくちゃ評価されるんですよね

 

施工管理をやっていると、徹夜することもありますし、家に帰れないこともしばしばあります。

 

そう。建設業界で求められる「当たり前」の仕事ってものすごく質と量が高いんですよ。

 

その結果、施工管理マンというのは、一人の仕事人として「妥協せずにハードワークをこなす人材」として、バッキバキに仕上がった戦士になっていくのです。

 

メリット③.圧倒的なストレス耐性が身につく

結論、建設業界は理不尽です。

 

お客様からの無理難題に「できません」と答えると上司にすぐさまクレームが入るなんてことはよくあることですし、下請けが奴隷のように扱われるということもあります。

 

繁忙期には毎日のように床で寝たり現場事務所の椅子で寝たりして身体はボロボロなのに、怒鳴られたり催促されながら仕事をするなんて、本当に鬼畜のような仕事だと思いませんか?

 

実際、私は建設業界から異業種に2回転職しましたけど、過去を振り返っても施工管理で感じるストレスは圧倒的でしたね

 

ただ、建設業界で経験するであろうストレスへの耐性はリーダーや管理職に出世した際にメチャクチャ役立ちます。

 

会社員というのは悲しいことに出世すればするほど仕事の責任も重くなってきてストレスも多大になっていくもの。

 

その点、施工管理の仕事は通常の数倍ストレスを受けますので、そのプレッシャーに比べれば管理職になって感じるプレッシャーも大したことはないでしょう。

 

ただ、最近では管理職になりたくない。。と感じる人達が増えてきています。

 

ちなみに、その理由については管理職になりたくない人は8割!その理由4つと管理職にならないデメリットとはという記事で解説しておりますので、是非ともご覧ください。

 

メリット④.圧倒的な体力が身につく

結論、どんな職場でも仕事で評価されれば評価されるほど激務になる傾向があります。

 

そういった環境に陥った時に、仕事上の体力がないとどんなに優秀だろうが結果を残すことはできないし、評価も落ちていってしまいます。

 

やっぱりですね。働き方改革と言ってますけど、何だかんだで結果を残す人はハードワークをしていますし、成果=生産性×投下時間という公式があることからもハードワークが成果を残すための有効な手法であると言えます。

 

そうした中、施工管理をやっていると圧倒的な体力が身につくので、成果を出すために重要である「投下時間」をかけられる人材に自然と育っていくのは意外なメリットだと言えるでしょう

 

メリット⑤.折衝力や調整力が身につく

施工管理という仕事をしていると、職人さんや現場の所長、自社の理不尽な上司など、様々な関係者の利害関係を調整するシーンは日常茶飯事です。

 

加えて、緊迫感が伴った状況下でこういった利害関係の調整をしていくので、気づいたら調整力がものすごく高くなります

 

立場や格上に対しての折衝経験が多いことで、自ずと折衝力が高まる点は施工管理として働くメリットと言えるでしょう。

 

一見地味で当たり前に思える折衝力や調整力って、仕事においては極めて重要な能力の一つです。

 

こういったタスク管理をはじめとした折衝力や調整力はどの会社でも使える汎用的なスキルです。

 

折衝力や調整力の高い施工管理経験者は仮に転職した際も企転職先から重宝される可能性が高いでしょう。

 

おわりに。

ということで施工管理はやめとけ説に関するまとめ記事でした。

 

繰り返しになりますが、施工管理の仕事は普通ではありませんので、甘い考えで転職する職種ではありません。

 

本当に建物等を造り上げていくことに大きなやりがいとモチベーションを抱く方でない限り、施工管理の仕事はおススメしないですね。

 

施工管理、舐めていると手痛いパンチを喰らいますので、相応の覚悟を持っていただければと思います。

 

今回は以上です。

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