大企業の社員は皆無能。大企業の社員はぬるま湯に漬かっているため能力が低い。
そういった声があるため、大企業への就職や転職を悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
前提として、大企業は就職や転職人気が高く、転職エージェント大手のdodaが発行している転職⼈気企業ランキング2022<総合>では、いわゆる大企業の名前がズラリと並んでいます。
本記事を書いている私は、上記の転職人気企業ランキングで上位にランクインしている会社でチームリーダーとして働いています。
そんな私が日々感じているのは、転職人気の高い大企業には優秀な人材が多く採用されるものの、大企業の悪い風習に漬かってしまう人は無能に成り下がってしまうということ。
今回は、大企業で働いている私が優秀な人材が無能に成り下がってしまう理由などについて、実体験をもとに私見を述べていきます。
本記事の内容
- 1.大企業で働く無能な社員の特徴3つ
- 2.大企業の社員が無能と言われる3つの理由
- 3.大企業の仕事=つまらない説は本当なのか
- 4.大企業の管理職に無能が多い理由
- 5.私が転職して良かった4つのこと【大企業は優秀な人が多い】
1.大企業で働く無能な社員の特徴3つ
特徴①.大企業病にかかっている
結論、大企業に入社できた人は入社時点では優秀だった人が多いと思いますが、いわゆる大企業病を経て無能になってしまう人も結構多いです。
そして、無能な大企業社員の特徴はというとこんな感じ。
<無能な大企業社員の特徴>
- 自分で判断ができない
- 社内からの評判は良いが、社外からの評判は悪い
- 社内向けの仕事経験しかなく、顧客と接する経験に乏しい
- 自社の常識が世の中の常識だと思い込んでいる
- 大企業で働く自分に満足しており、向上心がない
上述の通り、私は現在大企業で勤務していますけど、「課長」という肩書きこそあれど、MTG中ずっと黙っていて意思決定ができない人は結構多いです。
いやいや。今のシーンはあんたがしゃべるところでしょ。担当者任せにするなよ
と感じるシーンは日々結構ありますね。
こうした人は昇格試験などで自分の能力を持っているモノ以上に高く見せる能力には長けているのですが、実力が伴わないのでお客様からの信頼はなかったりするのはあるあるです。
その結果、役職だけは得たものの、会社の冠を取ってしまえば何の価値もないような人が大企業にはそれなりの数存在するワケです。
さらには、大企業の社員=優秀という期待値の高さも相まって、こうした人が大企業社員=無能のイメージを強くさせているのでしょう。
そして、このようになってしまうのは多くの場合大企業病が影響しています。
大企業の場合、よくも悪くも事業が習熟しているほど単純なルーティンワークが多くなりますので、人によっては、難易度の低いルーティンワークをやり続けて出世する人もいるワケです。
まさに年功序列の弊害とも言える事例ではありますね。
ただ、そうしたキャリアを積んでいても一向に実力は上がっていきません。
そのため、本来は能力のあった優秀な社員が無能な社員に変わってしまうのです。
なお、本当に優秀な社員というのは実力が付けられないような職場からはさっさと見切りをつけて転職していきます。
その理由についてはなぜ優秀な人ほど見切りが早く突然会社を辞めるのか。連鎖退職経験者が理由を解説という記事で詳しく解説しております。興味があれば是非ともご覧ください。
特徴②.社内でしか通用しない仕事だけをしている人
結論、大企業は社内のルールや社内システムが複雑になっている場合が多いです。
ルールが複雑になるということは、それだけ多くの人が社内ルールのマニュアル作成や問い合わせ対応などの仕事に取り掛かっていることを意味します。
そして、こういったマニュアル作成で得たスキルって社外に出てしまうとほぼ役に立ちません。
もちろん、マニュアルをパワポなどで作成するパワポ技術は身につくでしょうけど、それ以外の専門的なスキルは多くの場合「その会社に居続けなければ無駄となる」ものです。
皮肉なことに、レベルが高く入社難易度が高い大企業ほどスキルが身につかない仕事を割り振りさせられる可能性が高くなると言えるでしょう。
特徴③.会社にしがみついている人
結論、大企業という社会的ステータスや年収の高さなどに満足し、会社にしがみついて生きていく人はハングリー精神もなく優秀とはほど遠い人材です。
自分の能力の低さに苦しみながら、毎日もがき続ける人は「今は仕事ができなくてもいずれ優秀になっていく」と思います。
一方で、頑張ってもがき続けた結果心が折れてしまった人は、いわゆる「窓際族の働かないおじさん」コース一直線と言えます。
大企業って、優秀な人が多いかわりに競争が激しくて心折れやすい環境なんですよね。
どこの会社でも大して働かずに高い給料をもらっている人はいるものですが、前提として大企業の場合はそうした人を抱えながらもやっていける体力があります。
その結果、大企業は働かない人をそれなりの人数抱えることになります。
働かないおじさんってやたらと目立ちますよね。
こうした人達が会社の窓口として中小企業やベンチャー企業の人達と相対することになるので、相手からすると
うわぁ。この人大企業なのにポンコツじゃないかよ・・・
と思ってしまい、その結果大企業=無能という風潮が加速する構図だと思いますね。
2.大企業の社員が無能と言われる3つの理由
理由①.指示待ちの社員が多いため
大手企業は分業体制がしっかりしているため、各部署の役割や責任範囲が明確になっていることが多いです。
また、仕事を進めるうえでの意思決定をするにあたり、上司だけでなく隣の部署の管理職から承認を取らないと行動に移せないなど、大企業特有の難しさがあります。
大企業では一つ一つの行動に対して複数部署の利害関係を意識する必要があり、時には自分の行動で隣の部署に迷惑をかけることもあります。
そして、こういった失敗経験で自信を失う人もしばしばいます。
また、周りが優秀であるが故に周囲と比較して自信を失う人も多いです。
自信がなくなると上司からの指示を待つようになってしまい、そういった姿勢が周囲から無能に見えてしまうのでしょう。
なお、仕事で指示待ちの姿勢はもちろん良くないことでして、その理由については仕事で言われたことしかできない人の特徴3選と指示待ち部下を持った体験談という記事で解説しておりますので、興味があれば是非ともご覧ください。
理由②.大企業病に陥る社員がいるから
結論、大企業病と呼ばれる状態になってしまうとその人が持つ本来のパフォーマンスが発揮できません。
なお、Wikiで大企業病を調べてみるとこんな感じ。
組織が大きくなることにより経営者と従業員の意思疎通が不十分となり、結果として、組織内部に官僚主義、セクショナリズム、責任転嫁、縦割り主義、事なかれ主義、構成員のデグレード化、心身機能の剥奪(半殺し)や亢進、情報操作やその遮断、過密で多彩なステークホルダーの存在などが組織の非活性をもたらす。社員は不要な仕事を作り出し、細分化された仕事をこなすようになる為、企業全体が高コスト体質となる。
<Wiki「大企業病」より引用>
大企業では管理職が「そんな話は聞いていない」となってしまい、意思決定に時間がかかってしまうことがしばしばあります。
そのため、そういったミスを防ぐため、過剰な情報共有や報告業務が発生するのも、大企業特有の事情と言えるでしょう。
大企業の社員の中には、上司や役員に業務報告するための資料作成だけを担当している人も多いです。
また、仕事の範囲が狭く中小企業やベンチャー企業であれば社内から仕事の相談を受けた際に
この仕事は自分の仕事ではないけど、自分の勉強のためにやってみるか
と感じて実行する人は多いでしょう。
ただ、大企業の場合は仕事の範囲が明確になっていることが多いので、同様のケースの場合に
その問い合わせ内容は私達の担当ではないので他部署へ問い合わせしてください
と冷たく返されがちです。
このように、自分の仕事範囲を明確に線引してしまうことによって、柔軟性のない杓子定規な人材になってしまう人は一定数存在します。
その結果、市場価値のない無能な人材になってしまう可能性があるのは大企業で働くリスクとも言えるでしょう。
理由③.大企業の社員は期待値が高いから
結論、大企業の年収は高いです。
年収が全てではありませんが、年収が高い大企業の転職人気は高いため優秀な人材が苦労なく集まってきます。
そういったエリート社員って、「高い給料を貰っているんだから優秀で当然でしょ」という目で見られるんですよね。
ただ、どこの会社でも働かないおじさんが存在するように、大手企業でも無能社員はぶっちゃけ何人もいます。
そういった人達が大手企業で勤めていることによって、「なんであんな人が高い給料を貰っているんだ」という嫉妬心が増幅されるわけです。
要は、イメージの問題なんですよね。
実際に大手企業で働いていると、地頭が良くて頭の回転が早い優秀な人はかなり多いです。
そういった環境の中、「仕事のできない人」が大企業社員だというだけで、必要以上に目立ってしまうんです。
このように、大企業の期待値が高いことで無能な社員が目立つ構図になっていると思いますね。
3.大企業の仕事=つまらない説は本当なのか
若手のうちは大企業の仕事はつまらないと感じる人も多い
大企業って「自分の意志で仕事が進めなさそう」とか「社内政治がめんどくさそう」といったように、仕事がつまらないイメージがありますよね。
これに関してはイメージ通りでして、特に、若手のうちは大企業の仕事がつまらないと感じることもあるでしょう。
大企業の若手は雑用のような仕事ばかりを任されることも多いのが事実です。
また、大企業は管理体制がしっかりしており、逐一上司に報告して意思決定を仰ぐことが多いので、特に若手の頃は「自己裁量」が狭くなってしまいます。
ただ、大企業で働く若手は「承認を得る」経験が数多くできるため、人が納得するために必要な情報の整理やロジカルな考え方が磨かれる点はメリットだと思います。
また、有名企業で働いているという社会的なステータスも大きいでしょう。
私自身過去2回大企業への転職を経験しておりますが、大企業には自社に誇りを持ち、前向きな意識を持つ人のほうが多かったですね。
そういった自己肯定感ってメンタル的に結構大事だと思いますし、なんだかんだで待遇は若手の中でも良いと思いますので大企業で働くことは悪くないと思いますね。
主力事業の仕事もつまらない可能性がある
結論、大手企業の主力事業は仕事がつまらない可能性があります。
なぜならば、大企業の主力事業は組織が完成されているので、「斬新なアイデアを持って主体的に行動する人材」よりも、粛々と上からの指示に従う人材のほうが重宝されるからです。
上の指示に従って評価されてきた人が上司になり、その価値観に基づいて仕事を部下に割り振りするため、若手社員は裁量0で雑用ばかりというケースも少なくはありません。
大手企業と言っても事業の継続年数はバラつきがあるので一概には言えませんけど、半世紀も続いているような事業はこの傾向にあるでしょうね。
スタートアップの部署は面白い可能性が高い
結論、大企業の多くは株式を上場しています。
そのため決算報告や投資家向け説明会などを経て、業績向上のための戦略を常に求められる環境にあります。
その結果、大企業の多くは「第二、第三の事業の柱」を作るために新しいことに取り組んでいるケースがほとんどです。
上記のようなスタートアップの部署で働けると、大企業のネームバリューや資金をフル活用し、刺激的な仕事に巡りあえるでしょう。
なぜそう言えるかというと、私自身が大手企業でスタートアップの部署で働いているから。
この場合、「保守的な人材」「上からの指示を愚直に実行」する人材よりも、「主体的に動き自ら道を切り開く人材」のほうが評価されるでしょう。
大企業へ転職するのであれば、この領域の求人を狙うのがおススメです。
大企業のネームバリューや財力を基盤とした新規ビジネス検討などの仕事はとても面白いですよ。
ただ、スタートアップであるため仕事量も多く、それなりに激務をこなす覚悟は必要になると思います。
4.大企業の管理職に無能が多い理由
大企業は中小企業と比べて社内向けの仕事が多いです。
中小企業であれば課長の上司は部長・専務・社長くらいかもしれませんが、大企業では部長も数十名~百人単位でいますし、その上の役員も数多いです。
そういった大きな組織であるが故に、大きな組織の管理職は「わかりやすく会社に自部署の成果をアピール」することが半ば義務のような状態になっています。
一番わかりやすいのが「新商材のサービス開始」「他社との協業」などです。
もちろん、先進性の高い仕事は社会的な貢献度も高いので、そのこと自体は素晴らしいことです。
ただ、管理職の中には自分が目立って成果を挙げることの優先度が高すぎる人が一定数存在します。
具体例で言いますと、先日お客様サービスの代理店販売を持ち掛けられたことがありました。
契約条件も悪く「そもそも、このサービスって魅力あるのか?」という疑問がある中、どうやってこの話を断ろうかなと思っていたら、とある管理職が
是非前向きに検討させてください
と発言した時は耳を疑いましたね。
その時は後から私の上司をはじめ、早期の火消しアクションを行ったので大けがは避けられたんですけど、「世の中で初」というPR文句だけに注目して後のことは何も考えないアホで無能な管理職は大企業に多いのも事実です。
アホな管理職はイメージが強すぎるので、10人いる大企業管理職のうち1人でもアホ管理職がいると「大企業管理職=無能」というイメージが先行してしまうのでしょうね。
5.私が大企業に転職して良かった4つのこと【大企業は優秀な人が多い】
私はこれまで大手企業に2回の転職経験があります。
そして、いずれも会社のメイン事業ではない部署で働き、営業~販売~納品~保守まで幅広く対応するような働き方をしていました。
結論、この環境が自分には合っていたし、良かったと感じる点でして、ここからはそう感じる理由を書いていきます。
大企業に転職してよかった点①.優秀な人達に囲まれて仕事ができた
結論、これが最も良かったと感じています。
やはり、人気のある大企業の選考を勝ち抜いた人達は優秀である割合が高いです。
大企業病による弊害はあるのでしょうが、それでも明らかに転職して「この人は凄いな」と思う人は増えましたね。
学歴なんて関係ない
こう述べる人も多いんですけど、やっぱり高学歴の人って優秀な人が多いです。
学歴が高い人って頑張って勉強して良い大学に入っているので、当たり前のように努力する人が多いんですよね。
今の職場の同僚は東大に京大に慶応に海外留学といった有名大学がズラリ。そして皆優秀です。
頭の回転は早く、私以外はほぼ英語での日常会話も余裕でこなすなど、地頭の良さを実感する毎日です。
転職前は、正直周りを見下していた私ですが、転職してはじめて自分が井の中の蛙であることに気づきました。
転職先で活躍するどころか、周囲の頭の回転の速さに付いていくこともできず、転職当初は日々辛い思いをしましたが、今にして思えばそれが成長のきっかけだったと感じています。
大企業に入社したけど自分が無能すぎて辛い・・・という方は結構多いと思うんですけど、人気ある大企業に入社できただけでも凄いことだと思います。
何かしら光るものがあるから大企業で働けているワケだと思いますので、そんな自分を褒めてあげてください。
大企業に転職してよかった点②.報連相の大切さが理解できた
結論、大企業では仕事の関係者が多くなるので、良くも悪くも報連相の出来が仕事の評価にも左右されます。
もともと自己裁量で仕事を完結していた私にとって、転職当初は相当なストレスでした。
ただ、大企業で働くことではじめて「他人に相談する効果は絶大」という事実を知ることができました。
もし転職しなければ、きっと「自分の意見は絶対」という歪んだ価値観を持った人材になっていたことでしょう。
その結果、「部下を頭ごなしに説教する上司」になっていたかもしれません。そういった意味でも本当に転職して良かったと思っています。
なお、周囲に相談できないことのデメリットは【仕事遅い】仕事で上司や同僚に相談しない人が損する3つの理由【残業多い】という記事で解説しております。こちらも興味があれば是非ともご覧ください。
大企業に転職してよかった点③.年収が上がった
結論、大企業に転職することで年収が上がりました。
給与テーブルの違いも印象的なんですけど、特に印象的なのは春闘のベースアップ額の違いですね。
これまでは春闘で労働組合が頑張っても、数百円の基本給アップがやっとでしたけど、大企業では千円以上の基本給アップを何年も連続して経験しました。
やっぱり、給料が上がるってことは生活水準にも影響するので大事だと思います。
大企業に転職してよかった点④.キャリアに箔が付いた
私は、過去に2回転職を経験してきましたが、1回目の転職では20数社応募して書類選考に合格したのは計5社であり、通過率は20%未満でした。
これに対して、8,000人規模の大企業で働いた後の2回目の転職活動時は、3社受けて100%書類選考に合格することができました。
もちろん、応募した会社も違いますので単純比較はできないのでしょうけど、大手企業で働いているという点は一定の評価を得ていたのではないかと感じます。
おわりに。
ということで、大企業の社員は無能という説について私見を書いてきましたが、結論から言いますとそんなことはないです。
また、大企業の中でもこれから注力していく事業への参画は経験上とても面白いです。
そのため、大企業で新規事業の求人があって興味があるのであれば、ぜひともチャレンジしてみることをオススメします。
大企業に「合う合わない」はあると思いますが、大企業は基本的に優秀な人が多くて給料も高めですので、大企業はオワコンという説は気にせず働くのも全然良いと思います。
今回は以上です。