会社からスキルアップのために資格取得を指示された。
けれど、この資格は実際に仕事で生きるのかよくわからないしモチベーションが上がらない。
しかも、最初の一回は会社が受験費用を負担してくれるけれど、もしも落ちたら自腹になるらしい。それって何かおかしくないか?
このような不満を抱えている人はそれなりに多いのではないでしょうか。
結論から言いますと、仕事で使うことのない資格は取得しても全く意味がないです。
さらに、昇格要件に資格取得を義務化するような会社の人事制度はナンセンスであり、ましてや自費を強いるなんて論外です。
なぜそう言い切れるかというと、私自身が過去に会社の命令で資格を取得させられてきたものの、その技能を全く利用せずに今に至るからです。
そして、意味のない資格取得の時間があるならば、他の自己研鑽に励むほうが余程時間を有効的に使えると思います。
今回は、そんな経験を持つ私が資格取得を強制する会社の特徴などについて私見を述べていきます。
本記事の内容
- 1.資格取得を強制する会社の特徴3つ
- 2.仕事で使わない資格は意味がない【習うよりも慣れろ】
- 3.資格取得の強制はパワハラなのか
- 4.会社が資格の取得を従業員に強制する理由
1.資格取得を強制する会社の特徴3つ
結論、資格の取得を強制する会社は古い体質な会社の可能性が高いです。
ただ、大前提として仕事をする上で必須な資格を強制するのは当然のことです。
例えば、証券会社の営業マンは証券外務員資格がないと営業が禁止されています。
こういった資格は働くために必須なので強制しても当然と言えるでしょう。
ここからは、そういった例を除いたうえで資格取得を強制する会社の特徴を述べていきます。
特徴①.古い体質で頭が固い
結論、資格取得をやたらと推進する会社はビジネスマンの能力の指標の一つが資格保有の有無にあると考えています。
例えば、ネットワークスペシャリストや基本情報技術者の資格を持っていればITの能力がある。1級建築士の資格を持っていれば現場監督の能力がある。
こういった判断をするのです。
この判断自体は必ずしも間違っているとも言えないのですが、大事なのは資格保有者相当の技能やスキルがあることであって、資格を保有しているからといって能力が測れるわけではありません。
さらに言うならば、資格よりもコミュニケーション能力やリーダーシップ、わかりやすい伝え方やファシリテーションスキルなど、資格保有よりも大事なスキルは仕事をしていくうえで星の数ほどあります。
そうした事実に着目することなく、「資格の有無で人材の能力を正しく測れる」という単純な指標にこだわる姿勢はやはり頭が固いと言わざるを得ないですね。
なお、このように頭が固くて古い体質な会社の特徴を【転職推奨】古い昭和な体質の会社に居続けると失うものを5つ紹介【時代遅れ】という記事で解説しております。興味があれば是非ともご覧ください。
特徴②.社員のことを大事にしていない
上述の通り、資格の保有とビジネスマンの能力に相関関係はあまりありません。
にも関わらず、会社が資格取得を推進する理由は大きく2つで、1つはシンプルに社員の能力を伸ばそうとしている場合、2つは会社に都合が良い場合です。
前者の場合は真面目に社員のことを考えた結果、イマイチな結論に至っただけで悪気はなかったとも言えますが、後者の場合はブラック企業の香りがしますね。
いずれにしても資格取得を推進している会社では、資格取得が昇格条件になっていたり、資格が昇格の加点要素となるなど、実質的に強制となるケースは多いです。
ですが、いずれの場合も資格取得のために勉強するのは業務時間外になります。
これが本業に結びつかない場合は最悪で、会社の指示でプライベートを意味のない資格取得の勉強に費やすことになるわけです。
こうした実態がある場合、資格推進制度をパワハラだと感じる人はそれなりに多いのではないでしょうか。
そして、中には受験費用を自費で負担させる悪質な会社もあります。
資格を強制しておきながら資格取得費用を出さない会社は完全にブラック企業ですので、そんな会社は今すぐ見切りをつけたほうが良いでしょう。
なお、見切りをつけたほうが良い会社の特徴は見切りをつけた方がいい会社の特徴12選と在籍リスク【抜け出すための行動も】という記事で解説しております。こちらも是非ご覧ください。
特徴③.今までのやり方を変えられない
結論、社員に資格取得を強制するやり方はもはや時代遅れです。
終身雇用の制度が根付いていた頃は、仮に新卒入社した会社がブラック企業だったとしても「なんとかこの会社でこの先やっていくしかない」と覚悟を決めざるを得なかった人が多いはずです。
けれど、今は転職が当たり前の時代ですので、会社都合の資格推進を掲げていれば上述の通り社員から見切りを付けられてしまいかねません。
にも関わらず、こういった制度を継続している会社は「マズイかも」と思いながらも今までのやり方を変える勇気のない会社だと言えます。
2.仕事で使わない資格は意味がない【習うよりも慣れろ】
結論、仕事で使わない資格なんて取得したとしても本当に意味がないです。
なぜそう言い切れるかというと、私自身が会社に資格を計5つ程取得させられたものの、仕事でその技能を使わないまま今に至るからです。
私の実体験の一例で言いますと、建設業界で一定金額以上の工事を請け負うために必要な主任技術者相当の資格(電気工事施工管理技士2級)を取得させられました。
ただ、当時の私には施工管理の経験はありませんでした。資格取得に必要な知識は受験時点に限りありましたけど、それはテストで合格するための知識でしかありません。
そんな浅はかな知識は、現場経験では通用しないものです。
おそらくは、資格取得のための知識だけを有していた当時の私は、実際に電気工事の施工現場に放り込まれたら慌てふためくだけで何もできなかったに違いありません。
当たり前といえば当たり前ですが、大事なのは机の上で勉強したことよりも、どれだけ実践で経験を積むかです。
野球のピッチングフォームのことをどれだけ知り尽くしたとしても、トレーニングを積まなければその理論を実践することはできません。
それと同じで、資格で持っている机上の知識は実践しなければ何の役にも立たないんですよね。
だからこそ、資格取得=スキルがあると勘違いし、資格取得を強制する会社は本質を理解できていない浅はかな会社だと感じるワケです。
3.資格取得の強制はパワハラなのか
結論、資格取得の強制はパワハラにあたる可能性があります。
近年では、やたらとハラスメントという言葉が使われるようになってきており、資格取得を強制することを「シカハラ」と呼ぶそうです。
ただ、ハラスメントは受け手がどう感じるかが非常に大きいので、資格取得を強制したからといって全ての場合がシカハラに該当するとは限りません。
その点を踏まえ、私が思うシカハラの判断基準はこんな感じ。
<シカハラの判断基準>
- 会社都合の資格取得にも関わらず自費
- 業務の役に立たない資格取得を強制される
- 資格を持っていないことで減給となった
- 業務時間内の勉強は禁止
- 昇格するためには資格の取得が必須 など
当てはまる項目が多いほど、シカハラに該当する可能性が高いと言えるでしょう。
私が過去働いていた会社では、管理職になる前に10万円する外部の研修を受講し、合格して資格取得することが昇格要件になっていました。
1回目の受験は会社が費用負担してくれていましたが、受験に落ちてしまい再受験をすると一部自費負担という制度になっていたので、「会社の命令」であるにも関わらず自費を強いられる人がいる仕組みは批判の声が大きかったです。
会社都合によって試験を強いるにも関わらず、そこに会社の後押しがないこともハラスメントの一種だと思います。
あとは、若手の昇給に資格取得を必須とする会社も一定数存在します。
これこそ、「若手は経験が乏しいんだから資格がないと一人前とは言えない」という歪んだ偏見だと言えます。
繰り返しになりますが、資格取得とビジネスマンとしての能力は比例しません。
そんな中、会社都合の資格取得を推進したり強制したりする会社は時代遅れですし、長く働くような会社ではないと思いますね。
4.会社が資格の取得を従業員に強制する理由
結論、会社が資格取得を強制するのはメリットがあるからです。
そして、その内容はというとこんな感じ。
<会社が資格の取得を従業員に強制するメリット>
- 従業員が勉強し、学ぶ姿勢を醸成させたい
- 資格保有者の数を公表することで会社自体の評価が上がる
- 自己研鑽を推進し、成長を促すことができる など
こうして見ると、「資格取得を強制する会社にも一理ある」と感じる人も多いでしょう。
ただ、業務時間内に資格の勉強をさせるなら良いのですが、多くの場合は業務時間外に資格取得の勉強を強制させることになり、その点は問題だと言えます。
さらに、本質的な課題としては子供が親から「勉強しなさい!」と言われてもやる気が出ないのと同じ話で、強制すること自体が従業員の主体的な学ぶ姿勢を阻害しているんですよね。
その事実に目が行き届かず、トップダウンで強制させるやり方が良いと思っている時点で、あまり良い方法ではないと思いますね。
おわりに。
ということで、資格取得を強制する会社の特徴とシカハラに関するまとめ記事でした。
特に、資格取得を強制させるにも関わらず自費で受験させる会社は、繰り返しですが働いていても仕方ないレベルの会社だと思います。
そして、会社負担ではあるものの、資格取得を強制させる会社も少し考え方が古い会社だと言えます。
本記事をご覧いただくことで、今後のビジネスプランを再考するきっかけになれば幸いです。
今回は以上です。