相手の立場になって発言をするんだぞ。
ビジネスマンであればそんな言葉をかけられた経験は誰もがあるのではないでしょうか。
結論、相手の立場になって物事を考えることができれば仕事で成果を残せますし、周囲からも評価されていきます。
とはいえ、このテクニックは口で言うほど簡単なものではなくて、意識しなければ相手の立場に立って物事を考えるのは難しいのが実情です。
ただ、相手の立場に立った傾聴ができれば、仕事では部下や後輩からもどんどん相談されることになりますし、恋愛や友人関係も良好になっていきます。
なぜそう言えるかというと、私自身がリーダーになって部下をマネジメントする立場になってから傾聴を意識することでチームの成果を最大化できた経験があるから。
そして、加えて言うならば相手の立場に立って物事を考えることは極めて難しいことであり、永遠に努力して磨いていかなければならないスキルでもあると思います。
大げさに言うならば、相手の立場に立って物事を考えられると人生の幸福感がより一層増すと思います。
今回は、そんな価値観を持つ私が相手の立場になって物事を考えるためのポイントなどを中心に解説していきます。
本記事の内容
- 1.ビジネスで相手の立場に立って物事を考えるメリット3つ
- 2.相手の立場に立って物事を考えられるための方法4つ
- 3.相手の立場になれていない人の行動例3選
1.ビジネスで相手の立場に立って物事を考えるメリット3つ
メリット①.相談されることが増える
結論、相手の立場に立って考えることができると社内外問わず相談されることが増えます。
皆さんも、職場に一人は問合せをしたり質問しても「自分で調べてくれない?」とか「マニュアルを確認したら?」といった感じで冷たく返してくる人がいますよね。
そういった人って、「困っている心境を理解してくれない」「寄り添う姿勢がない」ように思えてしまい、コミュニケーションを取るのも嫌だなと思ってしまいますよね。
これに対して、「協力はできないんだけど、たぶん〇〇に問合せしてみると良いと思う」と言った感じで、断るにしても何かしらのアドバイスをしてくれる人って寄り添いの姿勢を感じるものです。
このように、相手の立場を理解して困っているという心境を汲み取った行動をしてくれると、周囲から「あの人は話を聞いてくれる。わかってくれる」と評判が立ちます。
結果、こちらから周囲にヒアリングをせずともどんどん情報が舞い込んできます。
一見、相談されるメリットは管理職やリーダーにしかないように思えますが、実は担当者レベルでも相談される恩恵は非常に大きいです。
なぜならば、相談を受けるということは相手に貸しを作ることになるから。
相手が困っていた際に相談に乗ってアドバイスをして困りごとを解決する件数が多いと、逆にこっちが困った際に相談できる相手も多くなっていきます。
特にこの相手が社外だと効果は大きくて、相手から
〇〇さんにはいつも無理言ったり困った時に助けてもらっているから助かっているなぁ
と思ってもらうことで、次の仕事をもらえたり、時にはこっちの無理を聞いてもらえるなど、仕事がうまく回っていくでしょう。
ただ、この際になんでも仕事や相談を引き受けてしまわない点は注意が必要です。
自分の職務範疇じゃない仕事まで相談に受けてしまうのは、都合の良いように使われているとも言えますので、相手の立場を汲み取りつつ、自分がキャパオーバーにならないように断るべきところは断るようにしましょう。
なお、キャパオーバーの状態に陥ってしまうデメリットについては【体験談】30代で仕事がキャパオーバーに。原因3選となりやすい人の特徴8つとはという記事で解説しております。興味があれば是非ともご覧ください。
メリット②.相手から信頼される
結論、相手の立場になって物事を考えられると信頼が得られます。
人間は共感してもらいたい生き物です。「そうそう。この人は私の言いたいことがわかっている」と思ってもらえれば信頼が得られるというワケです。
ただ、そうは言いつつも、これを完璧に実践するのは非常に難しいですし、おそらくそんな人は存在しないでしょう。
私自身、本記事を書いている今現在チームのリーダーとして8名のメンバーをマネジメントしています。
その中には黙っていても仕事をこなして報告を上げてくれるメンバーもいれば、仕事の目的や内容を細かく説明しないと望み通りの仕事ができないメンバーもいたりと千差万別です。
そういった経験から感じるのは、相手の性格や能力によって自分の目線を上げ下げして微調整することが大事だということ。
加えて、誰を相手にするにしても共通しているのは「相手を否定せず傾聴する姿勢」が基本になるということです。
昭和時代の上司からは「そんなの甘い!」って言われそうですけど、今の令和の若手は頭ごなしに「いいからやれ!」と言っても主体的に行動してくれないです。
何か仕事を依頼するときは、仕事の背景や目的を説明すると共に、不明点が生じぬように認識合わせを行ったうえで指示することが大事だと思います。
そして、何よりも大事なのは日頃から後輩や部下を否定せず、良いところを肯定しつつ指摘していく姿勢です。
繰り返しですけど人間は共感されたいものです。「ここがダメ」「この資料は0点」といった否定感溢れるマネジメントをしていると、悲しいことにメンバーは付いてきてくれません。
なお、このように相手を否定してしまうデメリットについては【上司・同僚・夫婦】否定から入るうざい人の心理・特徴と対処法5つを徹底解説!という記事で触れていますので、興味があれば是非ともご覧ください。
メリット③.評価される
相手の立場に立って物事を考えられると、社内関係者やお客様から「この人からは求めている答えが返ってくる」と思われるようになり、相手から信頼されていきます。
上述の通り、相手から信頼されると仕事の発注も増えていき、その結果として成果を残せるので上司や会社からも評価されることになります。
社内で評価されると、昇格や昇進などによって給料も上がっていきますし、仕事での自己肯定感も増していきますので仕事がどんどん楽しくなっていくでしょう。
加えて、相手の立場になって物事を考えられる人は、自分が思っている以上に人の困りごとを解決しているものです。
その結果、自分が困った時には自然と周囲から手を差し伸べてもらい助けてもらえるようになるでしょう。
なお、世の中全体を見渡してみると、自分の評価に対して不満を抱いている人はかなり多いというデータがあります。
これについては【不公平】会社で評価されない人の特徴3選と評価に納得している人の割合を調査!という記事で解説しておりますので、興味があればこちらも是非ご覧ください。
2.相手の立場に立って物事を考えられるための方法4つ
方法①.とにかく対人経験を積む
結論、何事においても経験することが基本であり、相手の立場になって物事を考えることにおいても例外ではありません。
そして、相手の立場で物事を考えることの難しさは相手の性格は人の数だけ存在する点にあると言えます。
私はこれまで転職を2回経験し、延べ15年を超える社会人経験の中で、これまで様々な立場の人と接してきました。
20代の頃も自部署の課長や部長と仕事上で会話することはありましたが、30代でリーダークラスになった今、隣の部署の課長や部長と会話をしたり、お客様の課長クラスと会話したりする事例が増えたと感じています。
その経験から感じることは、当然といえば当然なのですが、役職によって相手の知りたい情報や目線も異なるということです。
例えば、自分が営業マンだった場合、お客様の担当者は「課題解決できる商材」を求めていますが、お客様の決裁権者はメリットに加え、「費用対効果」を求めていたりします。
これは、シンプルに責任が全然違うからだと言えます。
私が逆の立場でもそうですが、自分の判断で何かのソリューションを導入する場合、費用対効果は最低限知らないと意思決定はできないでしょう。
こうした目線は、自分が意思決定する経験をしていると相手の困り事や立場を踏まえて考えることができることが多いですが、担当者レベルの段階で相手の管理職の目線を養うのは一筋縄ではいかないと思います。
だからこそ、相手の目線に合わせるというスキルは永遠に完成することはないと思いますね。
ただ、このスキルを極めて相手の立場を踏まえた発言できるようになればなるほど、自分の思い描いた通りに仕事が進められるでしょう。
そして、私の拙い経験から一つだけ言いますと、「役職が上がっていくにつれて忙しくせっかちな人が多いので、結論を先に言うことが大事」ということはあると思います。
なお、結論から話をすることの重要性はデキるビジネスマンは結論から話す。結論ファーストが仕事でメリット多数なワケという記事で触れていますので、興味があれば是非ともご覧ください。
方法②.相手の立場になって考えるには2通りあることを知る
相手の立場になって思考したい!と思ったときに、真っ先に思いつくのが自分の目線を相手の目線まで自分を下げるパターンでしょう。
例えば、専門家ではない相手に対して「誰にでも理解できるようなわかりやすい言葉を使う」などです。
一方で見落としがちなのが、「自分の目線を相手の目線まで上げる」というパターンです。
例えば、人生経験も仕事経験も上の社長相手に対話するとなると、自分の能力以上に目線を相手に合わせて上げなくてはなりません。
この目線を養うことが、上述の通り難しいところです。
ただ、繰り返しにはなりますが、大事なのは相手の立場になる=自分の目線を上げる場合があることを知ることです。
このケースを知っていれば、普段の上司とのコミュニケーションや、上司同士のコミュニケーションにおいて「上司が求めている答えは何なのか」を意識しながら普段仕事に臨むことができるでしょう。
経験上、何も意識せずに物事をこなしてもなかなか身にはなりません。一方、普段から上司の考えていることを意識していると新たな気付きも多いと思います。
やはり、大事なのは自分なりに考えて行動することだと思います。
思考停止せずに自分なりの仮説を立てて行動し、違った点を自分なりに改善していく人は素晴らしいと思いますね。
方法③.相手の価値観や性格をヒアリングする
結論、当たり前ですけど人間には様々なタイプの人間が存在します。
細かく考えることが苦手でとにかく行動!という人もいれば、あれこれ考えすぎてなかなか行動に移せない人もいるわけです。
相手の性格が違えば考えていることもまったく別ですし、適切な発言も異なるワケなので、相対している人がどういった性格や価値観なのかを見極めてヒアリングできる能力が重要となります。
そのため、自分の常識や価値観は正義だと思わずに、「世の中正解はない」くらいの広い心を持って学ぶ姿勢を忘れないことが相手目線を養うポイントだと思いますね。
なお、これとは逆に自分の常識や価値観を押し付ける人の特徴については【そんなの普通】職場で自分の常識や価値観を押し付ける人の特徴4つと対処法とはという記事で解説しております。こちらも興味があれば是非ともご覧ください。
方法④.プライドを捨てる
結論、相手目線力を高めるためにはプライドは持たないのが一番です。
例えば、新卒で人気企業へ就職した人や社内で最高評価を貰っている人はどうしても「私は凄い」と天狗になりがちです。
これ自体は一概に悪いこととも言えないのですが、天狗になることで「私は凄い」だけでなく「他の人はダメ」と思ってしまうと危険な徴候にあると思います。
この状態は、自分の価値観が絶対だと思い込んでいる状態とも言えます。
例えば、異業種のお客様とコミュニケーションを行う際って、当然ですけど自分の全く知らない領域の専門家と相対するワケです。
このシーンにおいて、どう考えてもお客様の専門領域に自分が太刀打ちできるワケがないです。
そのため、浅い知識で対等に接しようとするよりも、プライドを捨てて「私は未経験なので是非とも教えてください」というスタンスのほうが相手も気持ちよく話をしてくれると思います。
そして、大事なのはこういったシーンでも自分の浅い知識なりの理解を示しつつ、「私の理解と違っている点があったらご指摘ください」というスタンスだと思います。
こうした謙虚な姿勢で仕事をしていくと、最初は無知だったとしても、徐々に未知なる領域の相手の立場を踏まえて会話ができるようになっていくでしょう。
3.相手の立場になれていない人の行動例3選
結論、一番マズイのは「相手の立場になって考える」ことすら頭にない状態です。
この場合、あらゆる物事を自分中心に考えている状態ですので、なかなか仕事で評価もされなければ成果を残していくのも難しいでしょう。
ただ一方で、自分なりに相手の立場になろうとしている結果、課題があるのであれば行動を正せば良いと思います。
ということで、相手の立場になりきれていない人の行動例3つを解説していきます。
行動例その①.専門用語を多用する
結論、「自分は能力がある」と相手に伝えたくて専門用語を多用する人は自分本位な人です。
なぜならば、この行動には「自分は凄い人と思われたい」という欲求が前面に出ているからです。
本来、仕事で最も大事なことは「相手に自分の意図を伝えること」です。
私自身、よく上司から「三歳児でもわかるように説明をしなさい」と言われます。そして、その理由は「誰にでも理解できる言葉で説明し、相手に伝える」ことが大事だからです。
こうした本質に対して、「自分の権威性PR」の優先順位が上になっており、専門用語を並べる人は仕事の優先順位がおかしいと言えます。
そして、同じような思いをお客様も抱いている可能性は高いでしょう。
こうした理由により、もしもあなたが専門用語を多発しているのであれば、すぐに行動を直すことをオススメします。
行動例その②.すべてを相手に説明しようとする
結論、自分が説明したい内容は相手の知りたい情報とは限りません。
これをやってしまう人は真面目な人が多くて、
きちんと伝えなければ!
という思いが強いが故に資料ボリュームが多くなり、1から10まですべてを説明してしまうワケです。
相手の立場になって物事を考えられる人ほど、資料を相手の立場に合わせて編集したり、相手によって会話の内容を変えたりするものです。
それに対して、1から10まで説明をしてしまう人は、結果として話が長くて何が言いたいのかわからなくなってしまう可能性は高いでしょう。
そして、この行動も「自分のやってきたことを伝えたい!」という自分中心のスタンスが見え隠れしています。
そうなると、相手からはなかなか信頼されることもないでしょうね。
なお、話が長い人の特徴については話が長い人の心理と特徴5点とは。元々話が長かった私が対処法4点を徹底解説!という記事で解説しております。こちらもぜひご覧ください。
行動例その③.決めつける
これはビジネスだけでなく、夫婦や家族などでもあると思うのですが、相手のことを決めつけて話す人っていますよね。
相手が何も考えていないかのように、「あなたは全然考えてくれない」「これからは気をつけてやってほしい」といった感じの言葉をかけてくるのですが、言われた側からすると
私も自分なりに配慮したり気をつけたりているんだけどなぁ・・・
という気持ちになってしまうわけです。
このような決めつけ発言の根底にあるのは、傲慢さです。
結論、相手のことを下に見ているから「どうせあの人はできていないだろう」と思ってしまうわけです。
そして、こういった人は相手を否定してしまう傾向にあります。
傲慢で自分本位な人は、「この人は駄目だな」と遅かれ早かれ思われてしまい、最終的には人が離れていくことでしょう。
行動例その④.話を最後まで聞かない
話を途中で遮る人はしばしばいますけど、こういう人は「自分の話をしたい」欲求が前面に出ている人です。
誰しも最後まで話をしたうえで反応を知りたいもの。
話の流れが読めていたり、「この人の話長いな・・・・」と思ったとしても、その気持ちをグッとこらえて最後まで聞くことが大事だと思いますね。
おわりに。
ということで、ビジネスでは相手の立場になって考えられる人が最強である!というまとめ記事でした。
当たり前ですけど男性は女性にはなれないし、子供がいきなり大人になることもできません。
けれど、できる限り経験や知識をフル活用し、相手の心理や立場から「今あの人はきっとこう思っているのでは?」と想像することが相手の立場で物事を考えることの第一歩でしょう。
相手は自分のことを全然わかってくれない!
このように感じてしまう人は、まずは自分中心に物事を考えている自覚を持つことから始めると良いでしょう。
「相手が〇〇してくれない」ではなく、どうしたら相手に自分の言葉が響き行動を変えてくれるのか。この思考法を心がけると対人関係のコミュニケーションがうまくいくと思います。
今回は以上です。