出典:SLAM DUNK 21巻(集英社)
今も語り継がれる伝説のバスケ漫画「スラムダンク」。
湘北高校のひと夏を6年かけて丁寧に描いたこの作品に熱中した人は老若男女問わず、数多く存在することでしょう。
そして、それだけ丁寧に描かれた名作であるが故に、仕事にも生かせる様々な気づきがあります。
特に、着目して欲しいのが陵南高校監督の「田岡茂一」。彼の管理者としての手腕は、世のビジネスマンが見習うべき様々なポイントが存在します。
そこで今回は、スラダンを擦り切れる程読み込んだ、自他ともに認めるコアなスラダンファンである私が、田岡茂一から学ぶ仕事術や名言について解説していきたいと思います。
本記事の内容
- 1.スラムダンクの陵南田岡監督の名言集7選【敗因はこの私】
- 2.田岡茂一は厳しくも面倒見が良い
- 3.田岡茂一は間違えを認める。だから陵南は本音を言い合えるチームなのだ
- 4.田岡茂一は、部下を信頼して最後は責任を取る
1.スラムダンクの陵南田岡監督の名言集7選【敗因はこの私】
その①.戦いにおいては相手に1つでも穴があればそこを徹底的に攻めるのが定石だ何もバスケットに限ったことじゃない
湘北戦で徹底的に素人桜木を突いてきた際の名言がこちら。
ビジネスで言うならば競合他社の弱点を分析し、その弱点に強みを持った商材を作り上げるなど、この視点は仕事でも活用できるものと言えるでしょう。
その②.三井をお前1人に任せていいか?
ディフェンスに定評のある池上に放ったセリフがこちら。
この発言は「お前ならできると思っているぞ?」という信頼が感じ取れますよね。部下のやる気を底上げするようなニュアンスのフレーズは、実践で即使えるものと言えます。
その③.オレは絶対に諦めん
魚住が4ファールでベンチに下がった後のセリフがこちら。
シンプルに考えて、リーダーが下を向いて諦めているような組織ってダメですよね。
逆境に置かれても前を向き目標達成を目指す姿に、部下は付いてくるものなのです。
その④.オレのミスだった
これは前述の通り、福田への叱責を自戒する際の心境。
自分を客観視し、反省すべきところは謙虚に反省するという人間臭さに部下は奮起するものなのです。
その⑤.ゆっくりでもいい!!自分の力でやり遂げろ!!
魚住が1年の頃、フラフラになりながら練習をこなす様子に放ったセリフがこちら。
自分で考えて、自分の力で何かを成し遂げて人ははじめて成長するもの。そんな基本的なことを改めて感じさせてくれる名言と言えます。
その⑥.お前をでかくすることはできない。たとえ俺がどんな名コーチでもな。立派な才能だ
これは、前述しておりますが取り上げざるを得ない。ぜひ、通しで読んでみてください!
その⑦.敗因はこの私!!陵南の選手たちは最高のプレイをした!!
これも前述しているのですが、やはり外せません。
おまえのせいじゃない。この件はオレの責任だ!
なんてセリフを部下にしてみたいものです。
2.田岡茂一は厳しくも面倒見が良い
<以下、SLAM DUNKの登場人物より引用>
年齢:41歳
監督歴:10年以上
性格:非常に気が短く厳しい人物で、試合中わずかでも気を抜いたプレイを行った選手は怒鳴りつけ、思い出すだけで部員たちが冷や汗を流すほどの厳しい練習を課すが、それは部員たちならやり遂げてくれると信頼しているからであり、才能はおろか、部員の精神面の面倒も見られる人柄である。
エピソード:高校時代の自身と高頭はライバルであり、「今で言うなら自身が仙道、高頭が流川のようなもの」であるとインターハイ予選決勝リーグの海南戦の試合前に陵南の選手たちに語るが、全員から「ウソだ」と連呼されて信用してもらえなかった。
これだけの厳しさを持ち合わせていると、普通は選手から恐る恐る話かけられるなど、壁を感じる存在になりがちなところを、日々の選手とのコミュニケーションによって、選手が監督に「ツッコミ」できるような雰囲気作りを構築したところに田岡茂一のチームマネジメント力が垣間見えます。
根底には、バスケに対する圧倒的な熱意があるでしょうし、本音ベースで選手の成長のためを思って厳しく指導しているという側面もあるでしょう。
その結果、厳しい練習に選手たちがついてきてくれたのではないでしょうか。
皆さんの職場はどうでしょうか。上司や先輩は後輩や部下に対して、厳しいだけで終わっていませんでしょうか?
厳しさはもちろん必要ですが、単に厳しいだけでは上司の顔色を伺う組織ができてしまう恐れがあり、チームマネジメントには、アメとムチが必要であることを田岡は体現しているのです。
アメとムチにおける代表的なエピソードが、魚住が高校1年生の時に「辞めたい」と言われた際の問答です。身長約2mの大型新人である魚住は、周囲から「ビッグジュン」と呼ばれ、期待されていました。一方で、田岡率いる陵南は県内でも屈指の練習量。厳しい練習についていけず、周囲からも「でかいだけ」と陰口を言われ、心が折れていたのです。
「田岡先生は鬼に思えた」
「オレは毎日怒鳴られた」
魚住の心境:SLAM DUNK 19巻より
厳しい練習と「魚住はただでかいだけ」と陰口を言われていることなども影響し、メンタル的にも限界を迎えた魚住。いつものようにコートの外で吐いているところにやってきた田岡に対し、魚住は「辞めたいです」と伝えました。
それに対する田岡の言葉が、35歳にもなるとグッときます。
この田岡茂一が陵南の監督に就いて10年
初めて今年チームの中心になれる男を得たんだ。それはお前だ「ビッグ・ジュン」
でかいだけ?
結構じゃないか
体力や技術は身につけさすことはできる
だが・・・
お前をでかくすることはできない
たとえ俺がどんな名コーチでもな
立派な才能だ
魚住よ・・・
お前が3年になった時
陵南初の全国大会出場
オレはそんな夢を見ているんだ
田岡先生格好良すぎですよね。二流の指導者であれば「そんな陰口は気にするな!!」とか陳腐なコメントを残してお茶を濁すところを、魚住のコンプレックスである「でかいだけ」という点をあえて受け入れさせ、でかいという特徴を「才能=能力」という表現でプラス転換したところ。
この発言は、魚住の気持ちを理解して寄り添っており、さらに普段厳しい監督が優しく励ますシーンは田岡監督が厳しいだけの人間ではないことを示しています。
これに対して、NGなのが部下の言うことを事あるごとに否定してしまう上司やリーダー。こうなると人は付いてこないです。
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この対応を瞬時に行うコーチング力。これは世のリーダーや管理職は学ぶモノが大きいのではないでしょうか。
3.田岡茂一は間違えを認める。だから陵南は本音を言い合えるチームなのだ
もちろん、そんな田岡にも間違いはあります。代表的な例が福田吉兆の指導方針でしょう。
プライドの低そうな福田を”戦略的に”叱り続けて伸ばそうとしたところ、見事にこれが裏目に。
実はプライドの高かった福田は、1年間叱咤に耐え続けたストレスから田岡を怒突いて無期限部活禁止処分になってしまうのです。
これに対し、田岡は「オレのミスだった・・・」と反省しています。
自分の思い通りにならなかったことを、選手のせいにすることなく、自責で物事を考えて、自分が悪いと思うことができるのは、一見当たり前のようですが、管理者にもなると自身の間違いを認められない人が多いのも事実。
自分を客観的に見れないリーダーは、ついつい自分のやり方にそぐわない部下を説教しがちです。
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それに対し、一線を画しているのが田岡茂一なのです。そんな人柄が選手にも理解されているからこそ、陵南は選手監督共に本音を言い合えるチームなのではないでしょうか。
4.田岡茂一は、部下を信頼して最後は責任を取る
田岡茂一はインターハイを賭けた湘北との大一番闘いに敗れた後、このようなコメントを残します。
敗因はこの私!陵南の選手たちは最高のプレイをした!!
私が社会人になって10数年。これまで、良い上司にも悪い上司にも出会い、部下として仕事をしてきました。
悪い上司として印象に残っているのが上にはペコペコし、下には高圧的なコバンザメ上司。そのコバンザメ野郎が、部下の案件でクレームがあった際に言い放ったセリフがこちら。
勘弁してくれ。これ誰が責任取ってくれるの?
このセリフを言われた人は、「こんな上司には絶対になりたくない」と思ったそうです。
田岡茂一は記者に対し、木暮と桜木への対応を誤ったと語り、選手を褒め称えつつ、潔く自らの責任を認めています。
激闘を終え、選手達にねぎらいの言葉をかけつつも責任を一身に負う姿は、まさに世の中堅社員が目指すリーダーの姿ではないでしょうか。
この言葉を聞いた選手達は、きっと来年こそ監督を全国へ連れていくぞ!と意気込んだことでしょう。
おわりに。
読者のなかで、「自分は田岡監督レベルに達している」と言い切れる方はそう多くはないでしょう。私も足元にも及ばないうちの一人です。
私はこれまで35年間生きてきました。一方で、これまで出会った人物の中でも、田岡茂一のように思いやりを持って自分のことを叱ってくれた人はほとんどいません。
良い上司とはただ優しい上司なのか?この質問に、ほとんどの人はYESとは答えないはず。ではなぜNOなのか。その答えを田岡が持っているのです。
それでは今回はこんなところで。
That is all